いとはかなげなるものと、明け暮れ見出だす小さき舟に乗り給ひて、さし渡り給ふほど、遥かならむ岸にしも漕ぎ離れたらむやうに心細くおぼえて、つとつきて抱かれたるも、いとらうたしと思す。
右近はこの邸の留守に残って、侍従を浮舟のお供にお付けする。
「たいそうたよりないもの」と(浮舟が)朝に夕に眺めやる川に浮かぶ小さな船に(匂宮は)お乗りになって、
竿さして、漕ぎ渡りなさる時も、(浮舟は)まるで遥かに遠く離れた岸にでも向かって漕ぎ離れてしまったかのように心細く思われて、浮舟が自分にギュッとくっついて抱かれているのも、たいそう可愛らしいと匂宮はお思いになる。
ふっちゃけ、これ、人さらいですよね?
十二単でおだやかな時代の印象を持ちそうな平安時代ですが、
じつはけっこうバイオレンスなんですよね。
たしか、百人一首の46番「由良のとを渡る舟人かぢを絶えゆくへも知らぬ恋の道かな」
を詠った曾禰好忠は呼ばれてないに和歌の鑑賞会に強引に着席したら、
ボコボコにされて追い出されたとか・・・
藤原道長は自分の子分が合格するように、
試験監督を監禁したとか・・・
うーん、法治国家って素晴らしいですね。
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