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大鏡雲林院の菩提講品詞分解全訳序ノ一序ノ七

主はその御時の母后の宮の御方のめしつかひ

高名の大宅の世継とぞいふ侍りしかしな。

 

現代語訳

(夏山繁樹)あなたは、その御代の(帝の)母后の宮様の御所の召使で

有名な大宅の世継といいましたなあ。

品詞分解

名詞
係助詞
代名詞
格助詞
御時 名詞
格助詞
母后の宮の御方 名詞
格助詞
めしつかひ 名詞
高名 名詞
格助詞
大宅の世継 名詞
格助詞
係助詞(係り結び)
いひ ハ行四段活用動詞「いふ」連用形
侍り 丁寧の補助動詞ラ行変格活用動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~ます
過去の助動詞「き」連体形(「ぞ」結び)
かし 終助詞
な。 終助詞

語の解説

あなた。敬意を表した言い方。
その御時 宇多天皇の御代
母后の宮 母である后の意味で、皇太后を指す。宇多天皇の御母后。光孝天皇の皇后てあった班子女王(833-900年)のこと。宇多天皇の皇后の藤原胤子(いんし)(?-896年)とする説もある。
大宅世継 『大鏡』の中で、中心となる話手とされている老人の名。公=パブリックな代々の歴史を語る者という意味をこめた架空の人名。
とぞいひ侍りしかしな 「と~り」が係結ぴ。係結びで完結した文のあとに、終助詞の「かし(念を押して意味を強める)」「な(感動)」のついた形。
このような場合は結びが流れたとはいわない。

されば、主の御年は、おのれにはこよなくまさり給へらむかし。

みづからが小童にてありし時、

主は二十五、六ばかりのをのこにてこそはいませしか」といふめれば、

現代語訳

(夏山繁樹)すると、あなた(=大宅世継)のお年は、私よりは、ずっと上でいらっしゃるでしょう。

私(夏山繁樹)が(まだ)ほんの子供であった時分に、

あなた(大宅世継)は(たしか)二十五、六歳ぐらいの

一人まえの男でいらっしゃいました。」と言うと、

品詞分解

されば、 接続詞
名詞
格助詞
御年 名詞
は、 係助詞
おのれ 名詞
格助詞
係助詞
こよなく ク活用形容詞「こよなし」連用形
まさり ラ行四段活用動詞「まさる」連用形
給へ 尊敬の補助動詞「給ふ」ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 尊敬語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~なさる
完了の助動詞「る」未然形
推量の助動詞「む」終止形
かし。 終助詞
みづから 名詞
格助詞
小童 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
接続助詞
あり 補助動詞ラ行変格活用動詞「あり」連用形
過去の助動詞「き」連体形
時、 名詞
名詞
係助詞
二十五、六 名詞
ばかり 副助詞
格助詞
をのこ 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
接続助詞
こそ 係助詞(係り結び)
係助詞
いませ サ行四段活用動詞「います」連用形 尊敬語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 (あり)いらっしゃる
しか」 過去の助動詞「き」已然形
格助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」終止形
めれ 推量の助動詞「めり」已然形
ば、 接続助詞

語の解説

まさり給へらむかし 「ら」は完了「り」の未然形で「ている」の意味。まさっていらっしゃるでしょう。
みづから 私。自称の代名詞。
いませしか 「います」は補助助詞「(にて)あり」の尊敬語。「……(で)いらっしゃる。」「しか」は上の「をのこにてこそ」の結び。
大宅世継 大鏡の中で、中心となる詰
手とされている老人の名。

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コシャリ

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