うらやましきにや、またいかなるにか、ものも言はでぞ候ひ給ひける。
他の二人の殿方(=道隆公・道兼公)のお顔色はやはり依然として、直らないままで、この道長公がこうして(大極殿から清涼殿の殿上の間に平然として)お帰りになられたのを、花山帝をはじめ、(殿上人の)人々が口々に褒められているのが、羨ましいのでしょうか、また、どのように思っているのでしょうか、何もおっしゃらないでいらっしゃいました。
こと殿たち | 名詞+接尾語 |
の | 格助詞 |
御けしき | 接頭語+名詞 |
は | 係助詞 |
いかに | ナリ活用形容動詞「いかなり」連用形 |
も | 係助詞 |
なほ | 副詞 |
直ら | ラ行四段活用動詞「直る」未然形 |
で | 接続助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
殿 | 名詞 |
の | 格助詞 |
かく | 副詞 |
て | 接続助詞 |
参り | 謙譲語本動詞ラ行四段活用動詞「参る」連用形 |
給へ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 |
る | 完了の助動詞「り」連体形 |
を | 格助詞 |
帝 | 名詞 |
より | 格助詞 |
はじめ | 格助詞 |
感じののしら | ラ行四段活用動詞「感じののしる」未然形 |
れ | 受け身の助動詞「る」連用形 |
給へ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 |
ど | 接続助詞 |
うらやましき | シク活用形容詞「うらやまし」連体形 |
に | 断定の助動詞「なり」連用形 |
や | 係助詞(係り結びは省略されている) |
また | 副詞 |
いかなる | ナリ活用形容動詞「いかなり」連体形 |
に | 断定の助動詞「なり」連用形 |
か | 係助詞(係り結びは省略されている) |
もの | 名詞 |
も | 係助詞 |
言は | ハ行四段活用動詞「言ふ」未然形 |
で | 接続助詞 |
ぞ | 係助詞(係り結び) |
候ひ | 謙譲語本動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」連用形 |
給ひ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形 |
ける。 | 過去の助動詞「けり」連体形。(「ぞ」結び) |
つがはしてみよ。」と仰せ言ありければ、持て行きて押しつけて
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