浜松中納言物語世の中の深きためしには東洋大学2017古文2月8日

 

本文

世の中の深きためしには、吉野の山と名に流れたるよりも、なほ奥なるみ吉野といふ所なりければ、もろこし(唐土)に渡りしは、aさるべき人bあまた(数多)して、cいふかひなく漕ぎ離れにX。Ⅰ忍びやかに、人すくなにて分け入り給ふほど(程)、世に知らず物/心細アき/に、ころ(頃)は三月の二十日のほどなれば、雪こそ積らY、谷の底などには、なほ(猶)うち消えとまりつつ、都にはみな(皆)青葉になりにし花のこずゑ、今盛りに開け、散り残れイも、風に知らせむ、Ⅱ惜しげに見え渡さるるに、もろこし(唐土)の事のみおぼ(思)しやられて、

 

現代語訳

 

世の中の深い山の例には、吉野の山が評判だが、その評判の吉野の山よりも更に奥にあるみ吉野というところだったので、かつて中納言が唐土に渡った時には、しかるべき人々をたくさん連れて、いいようもない気持ちで日本を漕ぎ離れてしまったが、(今回は、華やかだった唐土渡りの様子とは違って)、ひと目を避けるように少ない人数で奥深い山を分け入りなさる様子は、たとえようもなく心細く、時の頃は三月の二十日頃なので、雪こそ積もってはいないものの、谷の底などには、やはり雪が消えのこって、都にあっては皆、青葉になってしまった桜の梢が、(山奥のここ=み吉野では)今を盛りに咲き、散り残っているのも、風に知らせて(吹き散らされるのが)、惜しそうに一面に見渡されるので、(中納言は、)唐土の御方の事ばかりがお想い遣られて、

 

 

東洋大学ではこう聞かれた

aさるべきの意味は?

bあまたの意味は?

cいふかひなくの意味は?

⇒単語覚えるべし!!

a相応な 立派な 前世からの運命

bたくさん 数多と書きます。たっぷり感が伝わってきますね。

cいいようもなく 言うほどの甲斐がない

 

X助動詞「き」を活用させると?

⇒うしろが句点、◯で終わっているから終止形、せ/◯//し/しか/◯ は大丈夫でしょうか。覚えてなければ今すぐ20回唱えて覚えるべし!

 

の文法的説明は?

⇒(ク活用)形容詞「心細し」の連体形

ク活用形容詞の活用↓

◯(く)・から/く・かり/し/・かる/けれ/◯・かれ

 

確認しておきましょう。

 

Y助動詞「ず」を活用させると?

⇒係助詞「こそ」の係り結びに注意です。

打消の助動詞「ず」の接続は未然形
[な]ず・ざら/[に]ず・ざり/ず/ぬ・ざる/・ざれ/ざれ

Page: 1 2 3 4

コシャリ

This website uses cookies.