源氏物語夕顔夕顔の死宵過ぐるほど品詞分解現代語訳4はこちら

風すこしうち吹きたるに、人はすくなくて、さぶらふ限りみな寝たり。

この院の預りの子、むつましく使ひたまふ若き男、

また上童一人、例の随身ばかりぞありける。

召せば、御答へして起きたれば、

「紙燭さして参れ。 『随身も、弦打して、絶えず声づくれ』と仰せよ。

人離れたる所に、心とけて寝ぬるものか。惟光朝臣の来たりつらむは」と、問はせたまへば、

 

現代語訳

風が少し吹いているが、宿直の人は少なくて、

おそばに控えているものは、全員寝ている。

この院の留守番の子で、源氏が身近に使っていらっしゃる若者、

また他に上童一人、いつもの随身だけがいたのだった。

源氏が(その3人を)お呼びになると、

(3人は)お返事して起きたので、

(源氏)「紙燭をつけて持って来い。

『随身も(魔除けに)弓の弦を鳴らして、

絶え間なく(警戒の)声を出せ』と命じてくれ。

こんなに人気のない所で、安心して寝ている奴があるか。

惟光朝臣が来ていたようだが、惟光はどうした」と

お聞きなさると、

 

名詞
すこし 副詞
うち吹き カ行四段活用動詞「うち吹く」連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
接続助詞
名詞
係助詞
すくなく ク活用形容詞「すくなし」連用形
接続助詞
さぶらふ ハ行四段活用動詞「さぶらふ」連体形 謙譲語 本動詞 作者→源氏物語 お仕えする
限り 名詞
みな 副詞
寝(ね) ナ行下二段活用動詞「寝(ぬ)」連用形
たり。 完了の助動詞「たり」終止形。
代名詞
格助詞
名詞
格助詞
預り 名詞
格助詞
名詞
むつましく シク活用形容詞「むつまし」連用形
使ひ ハ行四段活用動詞「使ふ」連体形
たまふ たまふ 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
若き ク活用形容詞「若し」連体形
名詞
また 副詞
上童 名詞
一人 名詞
名詞
格助詞
随身 名詞
ばかり 副助詞
係助詞(係り結び)
あり ラ行変格活用動詞「あり」連用形
ける。 過去の助動詞「けり」連体形(「ぞ」結び)
召せ サ行四段活用動詞「召す」已然形 尊敬語 本動詞 作者→源氏 お呼びになる
接続助詞
御答へし サ行変格活用動詞「御答へす」連用形
接続助詞
起き カ行四段活用動詞「起く」連用形
たれ 完了の助動詞「たり」已然形
接続助詞
「紙燭 名詞
さし サ行四段活用動詞「さす」連用形
接続助詞
参れ。 ラ行四段活用動詞「参る」命令形 謙譲語 本動詞 源氏→源氏 ~参上する
『随身 名詞
係助詞
弦打し サ行変格活用動詞「弦打す」連用形
接続助詞
絶え ヤ行下二段活用動詞「絶ゆ」未然形
打消の助動詞「ず」連用形
声づくれ』 ラ行四段活用動詞「声づくる」命令形
格助詞
仰せよ。 サ行下二段活用動詞「仰す」命令形
名詞
離れ ラ行下二段活用動詞「離る」連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
名詞
格助詞
名詞
とけ カ行下二段活用動詞「とく」連用形
接続助詞
寝ぬる ナ行下二段活用動詞「寝(ぬ)」連体形
もの 名詞
係助詞(反語)
惟光朝臣 名詞
格助詞
カ行変格活用動詞「来(く)」連用形
たり 完了の助動詞「たり」連用形
完了の助動詞「つ」終止形
らむ 現在推量の助動詞「らむ」連体形
は」 係助詞」
格助詞
問は ハ行四段活用動詞「問ふ」未然形
尊敬の助動詞「す」連用形
たまへ ハ行四段活用動詞「たまふ」已然形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
接続助詞

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