源氏物語夕顔夕顔の死宵過ぐるほど品詞分解現代語訳5はこちら

「さぶらひつれど、 仰せ言もなし。

暁に御迎へに参るべきよし申してなむ、 まかではべりぬる」と聞こゆ。

この、かう申す者は、滝口なりければ、弓弦いとつきづきしくうち鳴らして、

「 火あやふし」と言ふ言ふ、預りが曹司の方に去ぬなり。

内裏を思しやりて、 「名対面は過ぎぬらむ、滝口の宿直奏し、 今こそ」と、推し量りたまふは、まだ、いたう更けぬにこそは。

現代語訳

(預かりの子=この院の留守番)「惟光朝臣は、

先程まで控えておりましたけれど、

お呼びもないので、明け方にお迎えに伺うと言って、

退出いたしました。」と源氏に申し上げる。

この、こう(惟光は帰っちゃったよ)と申し上げる者は、

滝口の武士だったので、弓弦をたいそう似つかわしく

鳴らして、「火の用心」といいながら、留守番の住居の方に

去っていってしまった。

源氏は「火の用心」を聞くにつけても、宮中をお思いになって、

「(宿直の天上人が自分の名前を帝に奏上する)名対面は過ぎただろう。

滝口の宿直の武士の奏上が今ごろ行われているだろうか。」と

推察なさるのは、まだ、そう夜も更け切っていないのだろう。

「さぶらひ ハ行四段活用動詞「さぶらふ」連用形 謙譲語 本動詞 預かりの子→源氏 お仕えする
つれ 完了の助動詞「つ」已然形
ど 接続助詞
仰せ言 名詞
も 係助詞
なし。 ク活用形容詞「なし」終止形
暁 名詞
に 格助詞
御迎へ 接頭語+名詞
に 格助詞
参る ラ行四段活用動詞「参る」 謙譲語 本動詞 惟光朝臣→ ~参上する
べき 当然の助動詞「べし」連体形
よし 名詞
申し サ行四段活用動詞「申す」連用形 謙譲語 本動詞 預かり子→源氏 ~申し上げる
て 接続助詞
なむ 係助詞(係り結び)
まかで ダ行下二段活用動詞「まかづ」連用形 謙譲語 本動詞 預かりの子→源氏 退出する
はべり ラ行変格活用動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 預かりの子→源氏 ~ます
ぬる」 完了の助動詞「ぬ」連体形
と 格助詞
聞こゆ。 ヤ行下二段活用動詞「聞こゆ」終止形 謙譲語 本動詞 作者→源氏 ~申し上げる
こ 代名詞
の 格助詞
かう 副詞「かく」ウ音便
申す サ行四段活用動詞「申す」連体形 謙譲語 補助動詞 作者→源氏 ~申し上げる
者 名詞
は 係助詞
滝口 名詞
なり 断定の助動詞「なり」連用形
けれ 過去の助動詞「けり」已然形
ば 接続助詞
弓弦 名詞
いと 副詞
つきづきしく シク活用形容詞「つきづきし」連用形
うち鳴らし サ行四段活用動詞「打ち鳴らす」連用形
て 接続助詞
「火 名詞
あやふし」 ク活用形容詞「あやふし」終止形
と 格助詞
言ふ言ふ ハ行四段活用動詞「いふ」終止形(副詞法)
預り 名詞
が 格助詞
曹司 名詞
の 格助詞
方 名詞
に 格助詞
去ぬ ナ行変格活用動詞「往ぬ」終止形
なり。 推定の助動詞「なり」終止形
内裏 名詞
を 格助詞
思しやり ラ行四段活用動詞「思しやる」連用形 尊敬語 本動詞 作者→源氏 お思いになる
て 接続助詞
「名対面 名詞
は 係助詞
過ぎ ガ行四段活用動詞「過ぐ」連用形
ぬ 完了の助動詞「ぬ」終止形
らむ 現在推量の助動詞「らむ」終止形
滝口 名詞
の 格助詞
宿直奏し 名詞
今 名詞
こそ」 係助詞(係り結びは省略されている)
と 格助詞
推し量り ラ行四段活用動詞「推し量る」連用形
たまふ ハ行四段活用動詞「たまふ」連体形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
は 係助詞
まだ 副詞
いたう ク活用形容詞「いたし」連用形「いたく」ウ音便 副詞法
更け カ行下二段活用動詞「更く」連用形
ぬ 打消の助動詞「ず」連体形
に 断定の助動詞「なり」連用形
こそ 係助詞(係り結び)
は。 係助詞(係り結びは省略されている)

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