徒然草世に語り伝ふる事73段品詞分解

皆人の興ずる空言は、ひとり「さもなかりしものを」と言はんも

せんなくて、聞きゐたるほどに、証人にさへなされて、

いとど定まりぬべし。

皆人 名詞
格助詞
興ずる サ行変格活用動詞「興ず」連体形
空言 名詞
係助詞
ひとり 名詞
「さ 副詞
係助詞
なかり ク活用形容詞「なし」連用形
過去の助動詞「き」連体形
ものを」 終助詞(詠嘆)
格助詞
言は ハ行四段活用動詞「言ふ」未然形
仮定婉曲の助動詞「む」連体形
係助詞
せんなく ク活用形容詞「せんなし」連用形
接続助詞
聞きゐ ワ行上一段活用「聞きゐる」連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
ほど 名詞
格助詞
証人 名詞
格助詞
さへ 副助詞
なさ サ行四段活用動詞「なす」未然形
受け身の助動詞「る」連用形
接続助詞
いとど 副詞
定まり ラ行四段活用動詞「定まる」連用形
強意の助動詞「ぬ」終止形
べし。 推量の助動詞「べし」終止形

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とにもかくにも、空言多き世なり。ただ、常にある、

珍しからぬ事のままに心得たらん、よろづ違ふべからず。

 

下様の人の物語は、耳驚く事のみあり。

よき人はあやしき事を語らず。

とにもかくにも 副詞
空言 名詞
多き ク活用形容詞「おおし」連体形
名詞
なり。 断定の助動詞「なり」終止形
ただ 副詞
名詞
格助詞
ある ラ行変格活用動詞「あり」連体形
珍しから シク活用形容詞「珍し」未然形
打消の助動詞「ず」連体形
名詞
格助詞
まま 名詞
格助詞
心得 ア行下二段活用動詞「心得」連用形
たら 完了の助動詞「たり」未然形
仮定婉曲の助動詞「む」連体形
よろづ 名詞
違ふ ハ行四段活用動詞「違ふ」終止形
べから 当然の助動詞「べし」未然形
ず。 打消の助動詞「ず」終止形
下様 名詞
格助詞
名詞
格助詞
物語 名詞
係助詞
名詞
驚く カ行四段活用動詞「驚く」連体形
名詞
のみ 副助詞
あり。 ラ行変格活用動詞「あり」終止形
よき ク活用形容詞「よし」連体形
名詞
係助詞
あやしき シク活用形容詞「あやし」連体形
名詞
格助詞
語ら ラ行四段活用動詞「語る」未然形
ず。 打消の助動詞「ず」終止形

かくは言へど、仏神の奇特、権者の伝記、

さのみ信ぜざるべきにもあらず。