源氏物語夕顔夕顔の死宵過ぐるほど品詞分解現代語訳12はこちら
「ここに、 いとあやしう、 物に襲はれたる人のなやましげなるを、
ただ今、 惟光朝臣の宿る所にまかりて、急ぎ参るべきよし言へ、と仰せよ。
なにがし阿闍梨、そこにものするほどならば、ここに来べきよし、
忍びて言へ。かの尼君などの聞かむに、おどろおどろしく言ふな。
かかる歩き許さぬ人なり」など、
物のたまふやうなれど、
胸塞がりて、この人を空しくしなしてむ ことのいみじく思さるるに添へて、
大方のむくむくしさ、たとへむ方なし。
現代語訳
源氏「ここに、不思議な事に、物の怪に襲われた人が苦しんでいるので、
今すぐ惟光朝臣が宿泊している所(五条の大弐の乳母の家)に行って、
(惟光に)至急来るようにと言えと(お前=滝口は随身に)命じよ。
(惟光の兄の)なんとかの阿闍梨が(母の病気の祈祷で五条の家に)そこにいるのならば、
惟光と一緒にここに来るようにと、こっそりいいなさい。
あの(惟光の母の)尼君などが、聞くといけないから、
大きな声で言うな。尼君はこのような忍び歩きを許さない人だ。」
などと、源氏は物をおっしゃるようであるが、
源氏は(物の怪が出て夕顔が急死した事態に)胸がいっぱいで、
この人=夕顔をむなしく亡くしてしまうことが
ひどく悲しくお思いなる上に、あたり一面に広がる不気味さは例えようもない。
「ここ | 代名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
いと | 副詞 | ||||
あやしう | シク活用形容詞「あやし」連用形「あやしく」ウ音便 | ||||
物 | 名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
襲はれ | ラ行下二段活用動詞「おそはる」連用形 | ||||
たる | 完了の助動詞「たり」連体形 | ||||
人 | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
なやましげなる | ナリ活用形容動詞「なやましげなり」連体形 | ||||
を | 接続助詞 | ||||
ただ今 | 副詞 | ||||
惟光朝臣 | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
宿る | ラ行四段活用動詞「宿る」連体形 | ||||
所 | 名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
まかり | ラ行四段活用動詞「まかる」連用形 | 謙譲語
(丁寧語) |
本動詞 | 源氏→源氏/
紙燭を持てきた男 |
(行く)参上する
行く |
て | 接続助詞 | ||||
急ぎ | ガ行四段活用動詞「急ぐ」連用形 | ||||
参る | ラ行四段活用動詞「参る」終止形 | 謙譲語 | 本動詞 | 源氏→源氏 | (来)参上する |
べき | 当然の助動詞「べし」連体形 | ||||
よし | 名詞 | ||||
言へ | ハ行四段活用動詞「言ふ」命令形 | ||||
と | 格助詞 | ||||
仰せよ。 | サ行下二段活用動詞「仰す」命令形 | ||||
なにがし | 名詞 | ||||
阿闍梨 | 名詞 | ||||
そこ | 代名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
ものする | サ行変格活用動詞「ものす」連体形 | ||||
ほど | 名詞 | ||||
なら | 断定の助動詞「なり」未然形 | ||||
ば | 接続助詞 | ||||
ここ | 代名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
来(く) | カ行変格活用動詞「来(く)」終止形 | ||||
べき | 当然の助動詞「べし」連体形 | ||||
よし | 名詞 | ||||
忍び | バ行四段活用動詞「忍ぶ」連用形 | ||||
て | 接続助詞 | ||||
言へ。 | ハ行四段活用動詞「言ふ」命令形 | ||||
か | 代名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
尼君 | 名詞 | ||||
など | 副助詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
聞か | カ行四段活用動詞「聞く」未然形 | ||||
む | 仮定婉曲の助動詞「む」連体形 | ||||
に | 接続助詞 | ||||
おどろおどろしく | シク活用形容詞「おどろおどろし」連用形 | ||||
言ふ | ハ行四段活用動詞「言ふ」連体形 | ||||
な。 | 終助詞(禁止) | ||||
かかる | ラ行変格活用動詞「かかり」連体形
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