助動詞:薄緑のマーカーです
敬語:緑のマーカーです
係り結び:オレンジのマーカーです。
音便:水色マーカーです
東洋大学で出た本文
九条に、昔知れりける人の残りたりけるを訪らひ出でて、その宿りを占め置きて、都のうちといへど、はかばかしき人の住みたるわたりにもあらず、あやしき市女、商人のなかにて、いぶせく世の中を思ひつつ、秋にもなりゆくままに、来し方行く先、悲しきこと多かり。
豊後介といふ頼もし人も、ただ水鳥の陸にまどへる心地して、つれづれにならはぬありさまのたづきなきを思ふに、帰らむにもはしたなく、心幼く出で立ちにけるを思ふに、従ひ来たりし者どもも、類に触れて逃げ去り、本の国に帰り散りぬ。
分析済み本文
九条に、昔知れり/ける人の残りたり/けるを訪らひ出でて、その宿りを占め置きて、都のうちといへど、はかばかしき人の住みたるわたりにもあらず、あやしき市女、商人のなかにて、いぶせく世の中を思ひつつ、秋にもなりゆくままに、来し方行く先、悲しきこと多かり。
豊後介といふ頼もし人も、ただ水鳥の陸にまどへる心地して、つれづれにならはぬありさまのたづきなきを思ふに、(筑紫に←前文)帰らむにもはしたなく、心幼く(筑紫から京都に←前文)出で立ちにけるを思ふに、従ひ来たりし者どもも、類に触れて逃げ去り、本の国に帰り散りぬ。
東洋大学ではこう聞かれた
「はかばかしき」の意味は?
「まどへ」の動詞の活用の種類は?
「いぶせく」の意味は?
「ぬ」の文法的な説明は?
「かえらむにもはしたなく」の解釈は?
「に」の文法的な説明は?完了の助動詞「ぬ」
品詞分解して確かめよう
九条 | 名詞 |
に、 | 格助詞 |
昔 | 名詞 |
知れ | ら行四段活用動詞「知る」已然形 |
り | 完了の助動詞「り」連用形 接続はサ変の未然形・四段の已然形 ら/り/り/る/れ/れ |
ける | 過去の助動詞「けり」連体形 接続は連用形 けら/◯/けり/ける/けれ/◯ |
人 | 名詞 |
の | 完了の助動詞「り」連用形 |
残り | 接続はサ変の未然形・四段の已然形 |
たり | 完了の助動詞「たり」連用形 接続は連用形 たら/たり/たり/たる/たれ/たれ |
ける | 過去の助動詞「けり」連体形 接続は連用形 けら/◯/けり/ける/けれ/◯ |
を | 格助詞 |
訪らひ出で | ダ行下二段活用動詞「訪ひ出づ」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
宿り | 名詞 |
を | 格助詞 |
占め置き | カ行四段活用動詞「占め置く」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
都 | 名詞 |
の | 格助詞 |
うち | 名詞 |
と | 格助詞 |
いへ | ハ行四段活用動詞「言ふ」已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
はかばかしき | シク活用形容詞「はかばかし」連体形 |
人 | 名詞 |
の | 格助詞 |
住み | マ行四段活用動詞「住む」連用形 |
たる | 完了の助動詞「たり」連体形 接続は連用形 たら/たり/たり/たる/たれ/たれ |
わたり | 名詞 |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
あら | 補助動詞 ラ行変格活用「あり」未然形 |
ず、 | 打消の助動詞「ず」連用形 接続は未然形 [な]ず・ざら/[に]ず・ざり/ず/ぬざる/ね・ざれ/ざれ |
あやしき | シク活用形容詞「あやし」連体形 |
市女、 | 名詞 |
商人 | 名詞 |
の | 格助詞 |
なか | 名詞 |
にて、 | 格助詞 |
いぶせく | ク活用形容詞「いぶせし」連用形 |
世の中 | 名詞 |
を | 格助詞 |
思ひ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連用形 |
つつ、 | 接続助詞 |
秋 | 名詞 |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
なりゆく | カ行四段活用動詞「なりゆく」連体形 |
まま | 名詞 |
に、 | 格助詞 |
来し方 | 名詞 |
行く先、 | 名詞 |
悲しき | 悲しき |
こと | 名詞 |
多かり。 | ク活用形容詞「多し」終止形
|
豊後介 | 名詞 |
と | 格助詞 |
いふ | ハ行四段動詞「言ふ」連体形 |
頼もし人 | 名詞 |
も、 | 係助詞 |
ただ | 副詞 |
水鳥 | 名詞 |
の | 格助詞 |
陸 | 名詞 |
に | 格助詞 |
惑へ | ハ行四段活用動詞「惑ふ」已然形 |
る | 完了の助動詞「り」連体形 接続はサ変の未然形・四段の已然形 ら/り/り/る/れ/れ |
心地 | 名詞 |
し | サ行変格活用動詞「す」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
つれづれに | ナリ活用形容動詞「つれづれなり」連用形 |
ならは | ハ行四段活用動詞「ならふ」未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」連体形 接続は未然形 [な]ず・ざら/[に]ず・ざり/ず/ぬざる/ね・ざれ/ざれ |
ありさま | 名詞 |
の | 格助詞 |
たづきなき | ク活用形容詞「たづきなし」連体形 |
を | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 |
に、 | 接続助詞 |
帰ら | ら行四段活用動詞「帰る」未然形 |
む | 仮定婉曲の助動詞「む」連体形 |
に | 格助詞 |
も | 係助詞 |
はしたなく、 | ク活用形容詞「はしたなし」連用形 |
心幼く | ク活用形容詞「心幼し」連用形 |
出で立ち | タ行四段活用動詞「出でたつ」連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」連用形 接続は連用形 な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね |
ける | 過去の助動詞「けり」連体形 接続は連用形 けら/◯/けり/ける/けれ/◯ |
を | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 |
に、 | 格助詞 |
従ひ来 | カ行変格活用「従ひ来」連用形 |
たり | 完了の助動詞「たり」連用形 接続は連用形 たら/たり/たり/たる/たれ/たれ |
し | 過去の助動詞「き」連体形 接続は連用形(カ変・サ変は特別) せ/◯/き/し/しか/◯ |
者ども | 名詞 |
も、 | 係助詞 |
類 | 名詞 |
に | 格助詞 |
触れ | ラ行下二段活用動詞「触る」連用形 |
て | 接続助詞 |
逃げ去り、 | ラ行四段活用動詞「逃げ去る」連用形 中止法 |
本 | 名詞 |
の | 格助詞 |
国 | 名詞 |
に | 格助詞 |
帰り散り | ラ行四段活用動詞「帰り散る」連用形 |
ぬ。 | 完了の助動詞「ぬ」終止形。 接続は連用形 な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね |
東洋大学で出た本文
住みつくべきやうもなきを、母おとど、明け暮れ嘆きいとほしがれば、
「何か。 この身はいとやすくはべり。人一人の御身に代へたてまつりて、 いづちもいづちもまかり失せなむに咎あるまじ。我らいみじき勢ひになりても、若君をさるものの中にはふらしたてまつりては、何心地かせまし」