宵過ぐるほど、すこし寝入りたまへるに、

御枕上に、いとをかしげなる 女ゐて、 「己がいとめでたしと見たてまつるをば、尋ね思ほさで、かく、ことなるこ となき人を率ておはして、時めかしたまふこそ、いとめざましくつらけれ」とて、この御かたはらの人をかき起こさむとす、と見たまふ。

 

現代語訳

宵が過ぎるころ、(源氏は夕顔と二人ですごして)少しうつらうつら寝入りなさると、

源氏の御枕元に、たいそう美しい女(物の怪)が座っていて、

 

(美しい女の物の怪)「私があなた=源氏のことを

たいそう素晴らしいお方とお慕い申し上げているのに、

(あなたを思う私を源氏は)訪ねようとはお思いなさらないで、

この(=夕顔)ような取るに足りないような女をお連れしていらっしゃって、ご寵愛なさることは、

たいへん心外で、恨めしく思われます」

といって、この=源氏のおそばの女=夕顔に手をかけ、引き起こそうとするのを

(源氏は夢で)ご覧になる。

 

 

コメント

英熟語でもmake(s) no difference 違いがない=重要でない

というものがありますが、反対語はmake a differenceね

「異なる所なき」って平安時代からこういう言い方は

日本でもしていたんですね。

一応これまで、10カ国語くらい勉強するぐらいには、

外国語や言語に関心があるので、

こういうの見るといつもわくわくしてしまいます。

名詞
過ぐる ガ行上二段活用動詞「過ぐ」連体形
ほど 名詞
すこし 副詞
寝入り ラ行四段活用動詞「寝入る」連用形
たまへ ハ行四段活用動詞「たまふ」已然形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
完了の助動詞「り」連体形
接続助詞
御枕上 接頭語+名詞
格助詞
いと 副詞
をかしげなる ナリ活用形容動詞「をかしげなり」連体形
名詞
ワ行上一段活用動詞「ゐる」連用形
接続助詞
「己 代名詞
格助詞
いと 副詞
めでたし ク活用形容詞「めでたし」終止形
格助詞
マ行上一段活用動詞「見る」連用形
たてまつる ラ行四段活用動詞「奉る」連体形 謙譲語 補助動詞 女(物の怪)→源氏 -申し上げる
格助詞
係助詞
尋ね ナ行下二段活用動詞「尋ぬ」連用形
思ほさ サ行四段活用動詞「思ほす」未然形
接続助詞
かく 副詞
ことなることなき ク活用形容詞「ことなることなし」連体形
名詞
格助詞
ワ行上一段活用動詞「ゐる」連用形
接続助詞
おはし サ行変格活用動詞「おはす」連用形 尊敬語 本動詞 女→源氏 ~いらっしゃる
接続助詞
時めかし サ行四段活用動詞「時めかす」連用形
たまふ ハ行四段活用動詞「たまふ」連体形 尊敬語 補助動詞 作者→ ~なさる
こそ 係助詞(係り結び)
いと 副詞
めざましく シク活用形容詞「めざまし」連用形
つらけれ」 ク活用形容詞「つらし」已然形(「こそ」結び)
格助詞
接続助詞
代名詞
格助詞
御かたはら 接頭語+名詞
格助詞
名詞
格助詞
かき起こさ サ行四段活用動詞「かき起こす」未然形
意志の助動詞「む」終止形
格助詞
サ行変格活用動詞「す」終止形
格助詞
マ行上一段活用動詞「見る」連用形
たまふ。 ハ行四段活用動詞「たまふ」終止形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる

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