源氏物語夕顔夕顔の死宵過ぐるほど品詞分解現代語訳9はこちら

「昔の物語などにこそ、かかることは聞け」と、

いとめづらかにむくつけけ れど、まづ、 「この人いかになりぬるぞ」と思ほす心騒ぎに、身の上も知ら れたまはず、添ひ臥して、 「やや」と、おどろかしたまへど、ただ冷えに冷え入りて、息は疾く絶え果てにけり。

 

現代語訳

昔物語などでは、このようなこと(夢で恨み言を言ってきた女が実際にでてくること)は聞くが、(自分の身に起こるとは思いも寄らなかった)

たいそう珍しく、不気味だが、まず、「この人=夕顔はどうなったのだろうか」とお思いになる胸騒ぎのせいで、

自分の身の危険もよくかえりみることがおできにならず、夕顔に寄り添って、横になって、「どうした」とお起こしなさるけれど、夕顔はただただすっかり冷えきって、息はとうに絶え果ててしまっていた。

「昔物語 名詞
など 副助詞
格助詞
こそ 係助詞(係り結び)
かかる ラ行変格活用動詞「かかり」連体形

もともと副詞「かく」+ラ行変格活用動詞「あり」

こと 名詞
係助詞
聞け」 カ行四段活用動詞「聞く」已然形(「こそ」結び)
格助詞
いと 副詞
めづらかに ナリ活用形容動詞「めづらかなり」連用形
むくつけけれ ク活用形容詞「むくつけし」已然形
接続助詞
まづ 副詞
「こ 代名詞
格助詞
名詞
いかに 副詞
なり ラ行四段活用動詞「なる」連用形
ぬる 完了の助動詞「ぬ」連体形
ぞ」 係助詞
格助詞
思ほす サ行変格活用動詞「思ほす」 尊敬語 本動詞 作者→源氏 お思いになる
心騒ぎ 名詞
格助詞
名詞
格助詞
名詞
係助詞
知ら ラ行四段活用動詞「知る」未然形
可能の助動詞「る」連用形
たまは ハ行四段活用動詞「たまふ」未然形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
打消の助動詞「ず」連用形
添ひ臥し サ行四段活用動詞「添ひ臥す」連用形
接続助詞
「やや」 感動詞
格助詞
おどろかし サ行四段活用動詞「おどろかす」連用形
たまへ ハ行四段活用動詞「たまふ」已然形 尊敬語 補助動詞 作者→源氏 ~なさる
接続助詞
ただ 副詞
冷え ヤ行下二段活用動詞「冷ゆ」連用形
格助詞
冷え入り ラ行四段活用動詞「冷え入る」連用形
接続助詞
名詞
係助詞
疾く ク活用形容詞「疾し」連用形(副詞法)
絶え果て タ行下二段活用動詞「絶え果つ」連用形
完了の助動詞「ぬ」連用形
けり。 過去の助動詞「けり」終止形

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