源氏物語浮舟かの人の御気色品詞分解現代語訳

ukihune9

折から、人のさまに、をかしくのみ何事も思しなす。

かの岸にさし着きて降り給ふに、人に抱かせ給はむは、いと心苦しければ、抱き給ひて、助けられつつ入り給ふを、いと見苦しく、 何人を、かくもて騷ぎ給ふらむと見奉る。時方が叔父の因幡守なるが領ずる荘に、はかなう造りたる家なりけり。

現代語訳

小さな舟で、(自分の愛する人と千年も持ちそうな深い緑の橘の小島を見る)趣深い機会といい、
愛する女性も美しい様子なので、匂宮は浮舟の歌も面白いと、すべてのことが素晴らしいとお思いになる。

対岸に到着して、舟をおりなさる時に、(自分以外の)人=供人に浮舟を抱かせなさるのは、(浮舟が)たいそうかわいそうなので、(匂宮が直々に浮舟を)お抱きになって、(供人に)介添えされて(用意した家に)お入りになるが、(その様子を見てお供の者は)「たいそう見苦しく、一体どれほどの身分の女を、このように(匂宮が直接抱きかかえて家までつれていくような)大騒ぎをなさるのだろう」と拝見する。(用意した家は)時方の叔父の因幡守が領有する荘園に、なんということなく作った家だった。