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十訓抄博雅の三位と鬼の笛品詞分解現代語訳敬語助動詞その2です
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原文
かの人の笛の音、ことにめでたかりければ、試みに、かれを取りかへて吹きければ、世になきほどの笛なり。そののち、なほなほ月ごろになれば、行きあひて吹きけれど、
直衣姿の男
「もとの笛を返し取らむ。」
とも言はざりければ、長くかへてやみにけり。三位失せてのち、帝、この笛を召して、時の笛吹きどもに吹かせらるれど、その音を吹きあらはす人なかりけり。
現代語訳
かの人(直衣姿の男)の笛の音色が、とりわけ素晴らしかったので、(博雅の三位は)試しに笛を取り換えて吹いてみたところ、この世のものとは思われないほど、素晴らしい笛である。
その後(笛を交換した後)、引き続いて何か月間も、(博雅の三位と直衣姿の男は)朱雀門に行きあって笛を吹いたが、
直衣姿の男
「もとの笛を返してもらおう」
ともいわなかったので、長い間、笛を交換したまま終わってしまった。博雅の三位がなくなった後、帝は、この笛(博雅の三位が交換した笛)をお召になって、当時の笛吹きたちにお吹かせになったけれど、(博雅の三位のような)音色を出せる者は誰一人としていなかった。
品詞分解
か | 代名詞 |
の | 格助詞 |
人 | 名詞 |
の | 格助詞 |
笛 | 名詞 |
の | 格助詞 |
音、 | 名詞 |
ことに | 副詞 |
めでたかり | ク活用形容詞「めでたし」連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
試み | 名詞 |
に、 | 格助詞 |
かれ | 代名詞 |
を | 格助詞 |
取りかへ | ハ行下二段活用「とりかふ」連用形 |
て | 接続助詞 |
吹き | カ行四段活用動詞「吹く」連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
世 | 名詞 |
に | 格助詞 |
なき | ク活用形容詞「なし」連体形 |
ほど | 名詞 |
の | 格助詞 |
笛 | 名詞 |
なり。 | 断定の助動詞「なり」終止形 |
そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
のち、 | 名詞 |
なほなほ | 副詞 |
月ごろ | 名詞 |
に | 格助詞 |
なれ | ラ行四段活用動詞「なる」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
行きあひ | ハ行四段活用動詞「行きあふ」連用形 |
て | 接続助詞 |
吹き | カ行四段活用動詞「吹く」連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 |
ど、 | 接続助詞 |
「もと | 名詞 |
の | 格助詞 |
笛 | 名詞 |
を | 格助詞 |
返し取ら | ラ行四段活用動詞「返し取る」未然形 |
む。」 | 意志の助動詞「む」終止形 |
と | 格助詞 |
も | 係助詞 |
言は | ハ行四段活用動詞「言ふ」未然形 |
ざり | 打消の助動詞「ず」連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
長く | ク活用形容詞「長し」連用形 |
かへ | ハ行下二段活用動詞「かふ」連用形 |
て | 接続助詞 |
やみ | マ行四段活用動詞「やむ」連用形 |
に | 完了の助動詞「ぬ」連用形 |
けり。 | 過去の助動詞「けり」終止形 |
三位 | 名詞 |
失せ | サ行下二段活用「失す」連用形 |
て | 接続助詞 |
のち、 | 名詞 |
帝、 | 名詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
笛 | 名詞 |
を | 格助詞 |
召し | 尊敬語サ行四段活用動詞「召す」連用形
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