ゆく川の流れ

いにしへ見人は、二、三十人が中に、わづかに一人

二人なり

現代語訳

ある家は大きな家がなくなって、小さな家になっている。(ように変化している)

住む人もこれ(家)と同じである。場所も変わらず、人も多いが、昔から見知っている人は、2,30人中、わずかに1,2人である。

 

品詞分解

あるいは、 連語
大家 名詞
滅び バ行上二段活用動詞「滅ぶ」連用形
て、 接続助詞
小家 名詞
格助詞
なる。 ラ行四段活用動詞「なる」終止形
住む マ行四段活用動詞「住む」連体形
名詞
係助詞
これ 代名詞
格助詞
同じ。 シク活用形容詞「同じ」終止形
名詞
係助詞
変はら ラ行四段活用動詞「変はる」未然形
ず、 打消 の助動詞「ず」連用形
名詞
係助詞
多かれ ク活用形容詞「多し」已然形
ど、 接続助詞
いにしへ 名詞
マ行上一段活用動詞「見る」連用形
過去の助動詞「き」連体形
名詞
は、 係助詞
二、 名詞
三十人 名詞
格助詞
名詞
格助詞
わづかに ナリ活用形容動詞「わずかなり」連用形
一人 名詞
二人 名詞
なり。 断定の助動詞「なり」終止形

あしたに死に、夕べに生まるる習ひ、ただ水の泡にたりける。

知ら、生まれ死ぬる人、いづ方より/来たり/て、いづ方へか去る。

また知ら、仮の宿り、誰がために心を悩まし、

何によりて目を喜ばしむる。

現代語訳

ある日の朝に死ぬ人がいる一方で、夕方に生まれる人がいるという世のならわしは、まさに(消えたり新たに生じたりする)水の泡とそっくりだ。

私にはわからないのだ。生まれ、死ぬ人間が、どこからやって来て、そしてどこへ去っていくのか。

また(これも)私にはわからないのだ。生きている間だけの一時の住まいをいったい誰のために苦心して建てたり、いったい何のために飾り立てて目を喜ばせようとするのか。

品詞分解

名詞
格助詞
死に ナ行変格活用動詞「死ぬ」連用形
夕べ 名詞
格助詞
生まるる ラ行下二段活用動詞「生まる」連体形
習ひ 名詞
ただ 副詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
係助詞(係り結び)
ナ行上一段活用動詞「似る」連用形
たり 存続の助動詞「たり」連用形
ける。 詠嘆の助動詞「けり」連体形(「ぞ」結び)
知ら ラ行四段活用動詞「知る」未然形
ず、、 打消 の助動詞「ず」終止形
生まれ ラ行下二段活用動詞「生まる」連用形
死ぬる ナ行変格活用動詞「死ぬ」連体形
名詞
いづ方 名詞
より 格助詞
来たり ラ行四段活用動詞「来たる」連用形
て、 接続助詞
いづ方 名詞
格助詞
係助詞(係り結び)
去る。 ラ行四段活用動詞「去る」連体形(「か」結び)
また 接続詞
知ら ラ行四段活用動詞「知る」未然形
ず、 打消 の助動詞「ず」終止形
名詞
格助詞
宿り 名詞
名詞
格助詞
ため 名詞
格助詞
係助詞
名詞
格助詞
悩まし サ行四段活用動詞「悩ます」連用形
名詞
格助詞
より ラ行四段活用動詞「よる」連用形
接続助詞
係助詞(係り結び)
名詞
格助詞
喜ば バ行四段活用動詞「喜ぶ」未然形
しむる。 使役の助動詞「しむ」連体形(「か」結び)

その、主とすみかと、無常を争ふさま、いはば、朝顔の露に異ならず。

あるいは、露落ちて、花残れり。