残るといへども、朝日に枯れぬ。
あるいは、花しぼみて、露なほ消えず。
消えずといへども、夕べを待つことなし。
現代語訳
その、家の住人と住居が、(どちらが先に滅びるか先を争っているかのように)無常を争って(どちらも滅び去って)いくのは、いってみれば、(少し触れれば簡単になくなってしまう)朝顔と、その上の露との関係と同じである。
あるときには、露が落ちて、花が残っている場合もある。
花が残るといっても、朝日に当たれば、しぼんでしまう。
あるときには、花が先にしぼんで、露が落ちずに残っている場合もある。
露が消えないといっても、夕方まで消えずにいることはない。
品詞分解
そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
主 | 名詞 |
と | 格助詞 |
栖 | 名詞 |
と、 | 格助詞 |
無常 | 名詞 |
を | 格助詞 |
争ふ | ハ行四段活用動詞「争ふ」連体形 |
さま、 | 名詞 |
いは | ハ行四段活用動詞「いふ」未然形 |
ば、 | 接続助詞 |
朝顔 | 名詞 |
の | 格助詞 |
露 | 名詞 |
に | 格助詞 |
異なら | ナリ活用形容動詞「異なり」未然形 |
ず。 | 打消 の助動詞「ず」終止形 |
あるいは | 連語 |
露 | 名詞 |
落ち | タ行上二段活用動詞「落つ」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
花 | 名詞 |
残れ | ラ行四段活用動詞「残る」已然形 |
り。 | 存続の助動詞「り」終止形 |
残る | ラ行四段活用動詞「残る」終止形 |
と | 格助詞 |
いへ | ハ行四段活用動詞「いふ」已然形 |
ども | 接続助詞 |
朝日 | 名詞 |
に | 格助詞 |
枯れ | ラ行下二段活用動詞「枯る」連用形 |
ぬ。 | 完了の助動詞「ぬ」終止形 |
あるいは | 連語 |
花 | 名詞 |
しぼみ | マ行四段活用動詞「しぼむ」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
露 | 名詞 |
なほ | 副詞 |
消え | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」未然形 |
ず。 | 打消 の助動詞「ず」終止形 |
消え | ヤ行下二段活用動詞「消ゆ」未然形 |
ず | 打消 の助動詞「ず」終止形 |
と | 格助詞 |
いへ | ハ行四段活用動詞「いふ」已然形 |
ども | 接続助詞 |
夕べ | 名詞 |
を | 格助詞 |
待つ | タ行四段活用動詞「待つ」連体形 |
こと | 名詞 |
なし。 | ク活用形容詞「なし」終止形 |
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