時知らぬ山は富士の嶺いつとてか
鹿の子まだらに雪の降るらん
その山は、ここにたとへば、
比叡の山を二十ばかり重ね上げたらんほどして、
なりは塩尻のやうになんありける。
富士 | 名詞 |
の | 格助詞 |
山 | 名詞 |
を | 格助詞 |
見れ | マ行上一段活用「見る」已然形 |
ば | 接続助詞 |
五月 | 名詞 |
の | 格助詞 |
つもごり | 名詞 |
に | 接続助詞 |
雪 | 名詞 |
いと | 副詞 |
白う | ク活用形容詞「白し」連用形「白く」ウ音便 |
降れ | ラ行四段活用動詞「降る」已然形 |
り。 | 完了の助動詞「り」終止形 |
時 | 名詞 |
知ら | ラ行四段活用動詞「知る」未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」連体形 |
山 | 名詞 |
は | 係助詞 |
富士 | 名詞 |
の | 格助詞 |
嶺 | 名詞 |
いつ | 副詞 |
とて | 格助詞 |
か | 係助詞(係り結び) |
鹿の子 | 名詞 |
まだら | 名詞 |
に | 格助詞 |
雪 | 名詞 |
の | 格助詞 |
ふる | ラ行四段活用動詞「ふる」終止形 |
らん | 推量の助動詞「らむ」連体形(「か」結び) |
そ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
山 | 名詞 |
は | 係助詞 |
ここ | 代名詞 |
に | 格助詞 |
たとへ | ハ行下二段活用動詞「たとふ」未然形 |
ば、 | 接続助詞、 |
比叡 | 名詞 |
の | 格助詞 |
山 | 名詞 |
を | 格助詞 |
二十 | 名詞 |
ばかり | 副助詞 |
重ねあげ | ガ行下二段活用「重ねあぐ」連用形 |
たら | 完了の助動詞「たり」未然形 |
ん | 推量の助動詞「む」連体形 |
ほど | 形式名詞 |
して | 係助詞 |
なり | 名詞 |
は | 係助詞 |
塩尻 | 名詞 |
の | 格助詞 |
やうに | 比況の助動詞「やうなり」連用形 |
なん | 係助詞(係り結び) |
あり | ラ行変格活用動詞「あり」連用形 |
ける。 | 過去の助動詞「けり」連体形。 |
猶行き行きて、武蔵の国と下つ総の国との中に、いと大きなる河あり。
それをすみだ河といふ。