唐物語19朱買臣「昔、朱買臣、会稽〜帰るといふ、この人の事なり。」概要
会稽に住む朱買臣は非常に貧しい暮らしをしていたが、勉学に励んでいた。
貧しい暮らしに我慢できなかった妻は、朱買臣の説得にもかかわらず、
離縁して出ていってしまった。
その後、太守に任じられ立身出世を果たした朱買臣は
かつての妻と再会するが、元妻は昔のことについて思い悩み翌朝になくなってしまった。
何事においても、短気や浅慮は残念なものだ。
ご注意
薄緑マーカー=助動詞
オレンジマーカー=係り結び
黄色マーカー=受験的に覚えておきたい単語
元ネタが漢文ですので、表現の違いなどが、共通テストなら後ろの方の設問で、聞かれるかもしれないですね。
なるべく直訳に近い現代語訳を載せましたが、お持ちのノートと違う場合は、学校の先生の訳に従ってくださいね。
細かなミスがある場合はお気軽に教えていただけると助かります。
それではテスト勉強にお役立てください。
唐物語19朱買臣「昔、朱買臣、会稽〜帰るといふ、この人の事なり。」本文と現代語訳=青字
昔、朱買臣、会稽といふ所に住みけり。
昔、朱買臣は会稽というところに住んでいた。
世に貧しくわりなくて、
非常に貧しく苦しくて
せんかたなかりけれど、
どうしようもなかったけれど
文(ふみ)を読み、物を習ふこと怠らず、
書物を読み、学問することを怠らず
そのひまには薪をこりて、
その(勉学の)間に薪を伐って
世を渡るはかりごとをしけり。
生活するための仕事にしていた。
かくて年月を経るに、
こうして年月が経つと
あひ具したり/ける女、
連れ添っていた女は、
限りなく貧しき住居を堪へ難くや思ひけん、
あまりにも貧しい住まいを耐え難く思ったのだろうか、
(女)「我も人もあらぬさまになりて、世を試みん」など、
(女)「私もあなたも別の様子になって(別れて)、生活してみましょう」などと
細やかにうち語らひければ、
(女は朱買臣に)くどくどと話したので、
(朱買臣は女に)「かくてしもやあり果つべき。今年ばかり心強くあひ念ぜよ」と、
「私だって、このまま(貧乏な暮らしのまま)終わってしまうものか。もう今年一年だけ気持ちを強く持って辛抱してくれ」
よろづこしらへけれど、つひに聞かで、
色々となだめたが、(女は朱買臣の言うことを)とうとう聞き入れないで、
その年のうちに離れに/けり。
その年のうちに離縁して(どこかへ)行ってしまった。