※四段活用じゃないの?と思った方はコメント欄も読んでね!
本文
ある人、県の四年五年果てて、例のことども皆し終へて、
解由など取りて、住む舘より出でて、船に乗るべきところへ渡る。
かれこれ、知る知らぬ、送りす。
品詞分解
ある | ラ行変格活用動詞「あり」連体形 |
人、 | 名詞 |
県 | 名詞 |
の | 格助詞 |
四年五年 | 名詞 |
果て | タ行下二段活用動詞「果つ」連用形 |
て | 接続助詞 |
例 | 名詞 |
の | 格助詞 |
ことども | 名詞+接尾語 |
皆 | 副詞 |
し | サ行変格活用動詞「す」連用形 |
終へ | ハ行下二段活用動詞「終ふ」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
解由 | 名詞 |
など | 副助詞 |
取り | ラ行四段活用動詞「とる」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
住む | マ行四段活用動詞「住む」連体形 |
舘 | 名詞 |
より | 格助詞 |
出で | ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
船 | 名詞 |
に | 格助詞 |
乗る | ラ行四段活用動詞「乗る」終止形 |
べき | 当然の助動詞「べし」連体形
接続は終止形、ラ変型は連体形 |
所 | 名詞 |
へ | 格助詞 |
渡る。 | ラ行四段活用動詞「渡る」終止形 |
かれ | 代名詞 |
これ | 代名詞 |
知る | ラ行四段活用動詞「知る」連体形 |
知ら | ラ行四段活用動詞「知る」未然形 |
ぬ、 | 打消の助動詞「ず」連体形
接続は未然形 |
送りす。 | サ行変格活用動詞「送りす」終止形 |
本文
年ごろよく比べつる人々なむ、別れがたく思ひて、
日しきりに、とかくしつつののしるうちに夜更けぬ。
乗るべきの、ところの「乗る」って連体形じゃないんですか?
コメントありがとうございます!
「べき」(「べし」の連体形)は終止形接続(上に終止形がくる)なので、「乗る(四段活用)」は終止形ですよー
「乗ら・乗り・乗る・乗る・乗れ・乗れ」
ちなみにラ変型って「あり」みたいなもので「あら・あり・あり・ある・あれ・あれ」のように変化して、こういう場合は「ある」は連体形になります。「あるべき」の「ある」ですね。
「べし」の接続確認してみてくださいね!
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書きつくのところカ行下二段じゃなくて四段活用じゃ?
コメントありがとうございます!
そうそう、未然形に打ち消しの助動詞「ず」を「つけ」て判断すると
「書きつかず」 と「書きつけず」
四段だと思っちゃいますよね
結論から言うと、
「書きつく」は,カ行下二段活用の動詞で、
・未然形=書きつけ
・連用形=書きつけ
・終止形=書きつく
・連体形=書きつくる
・已然形=書きつくれ
・命令形=書きつけよ
と活用します。
※「掻きつく(とりつく、しがみつく)」は,同じ読み方で「かきつく」と読みますが
カ行四段活用ですので,間違えないようにしてくださいね。
なんで?と思うと思います。
実際の古文の中では,下二段で活用しているから、
としか言いようがないんですが,
現代語で「つく」を考えてみましょう
よい評価がつく(自動詞)
先生が成績をつける(他動詞)
否定形にすると
よい評価(が)つかない、つかず(自動詞)
先生が成績(を)つけない、つけず(他動詞)
・(現代語)「~が付く」(自動詞)→(古文)「~が付く」
・(現代語)「~を付ける」(他動詞)→(古文)「~を付く」
古文だと、自動詞でも他動詞でも同じく「つく」になっちゃいますが、
助詞が「が」なのか「を、に」なのかで自動詞か他動詞かを判断します。
ここはそのよし、(を)いささか 物(に)書きつく
その旨(を)、少し、もの(に)かきつける
目的語の(~を、~に)がありますので
他動詞になり、「ず」をつけると
「書きつけず」、下二段活用となります。
※なお,この方法でうまく行かないこともありますので,注意してくださいね。