いみじかりし賢人・聖人、
みづからいやしき位にをり、時にあはずしてやみぬる、また多し。
ひとへに高き官・位を望むも次に愚かなり。
いみじかり | シク活用形容詞「いみじ」連用形 |
し | 過去の助動詞「き」連体形 |
賢人・ | 名詞 |
聖人 | 名詞 |
みづから | 副詞 |
いやしき | シク活用形容詞「いやし」連体形 |
位 | 名詞 |
に | 格助詞 |
をり | ラ行変格活用動詞「をり」連用形 |
時 | 名詞 |
に | 格助詞 |
あは | ハ行四段活用動詞「あふ」未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」連用形 |
して | 接続助詞 |
やみ | マ行四段活用動詞「やむ」連用形 |
ぬる | 完了の助動詞「ぬ」連体形 |
また | 副詞 |
多し。 | ク活用形容詞「多し」終止形 |
ひとへに | 副詞 |
高き | ク活用形容詞「たかし」連体形 |
官・ | 名詞 |
位 | 名詞 |
を | 格助詞 |
望む | マ行四段活用動詞「望む」連体形 |
も | 係助詞 |
次 | 名詞 |
に | 格助詞 |
愚かなり。 | ナリ活用形容動詞「愚かなり」終止形。 |
智恵と心とこそ、世にすぐれたるほまれも残さまほしきを、
つらつら思へば、ほまれを愛するは、人の聞きを喜ぶなり。
ほむる人、そしる人、ともに世にとどまらず、伝へ聞かん人、
またまたすみやかに去るべし。
智恵 | 名詞 |
と | 格助詞 |
心 | 名詞 |
と | 格助詞 |
こそ | 係助詞(係り結び) |
世に | 世に |
すぐれ | すぐれ |
たる | 完了の助動詞「たり」連体形 |
ほまれ | 名詞 |
も | 係助詞 |
残さ | 残さサ行四段活用動詞「残す」未然形 |
まほしき | 希望の助動詞「まほし」連体形(係り結びは流れている) |
を | 格助詞 |
つらつら | 副詞 |
思へ | ハ行四段活用動詞「思ふ」已然形 |
ば | 接続助詞 |
ほまれ | 名詞 |
を | 格助詞 |
愛する | サ行変格活用動詞「「愛す」連体形 |
は | 係助詞 |
人 | 名詞 |
の | 格助詞 |
聞き | 名詞 |
を | 格助詞 |
喜ぶ | バ行四段活用動詞「喜ぶ」連体形 |
なり。 | 断定の助動詞「なり」終止形 |
ほむる | マ行下二段活用動詞「ほむ」連体形 |
人 | 名詞 |
そしる | ラ行四段活用動詞「そしる」連体形 |
人 | 名詞 |
ともに | 副詞 |
世 | 名詞 |
に | 格助詞 |
とどまら | ラ行四段活用動詞「とどまる」未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」連用形 |
伝へ聞か | カ行四段活用動詞「伝へ聞く」未然形 |
ん | 仮定婉曲の助動詞「む」連体形 |
人 | 名詞 |
またまた | 副詞 |
すみやかに | ナリ活用形容動詞「すみやかなり」連用形 |
去る | ラ行四段活用動詞「去る」終止形 |
べし。 | 推量の助動詞「べし」」終止形 |
たれをか恥ぢ、たれにか知られん事を
願はん。ほまれはまたそしりのもとなり。