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大鏡競弓競べ弓競射道長伝ノ四品詞分解全訳現代語訳
の1です
原文
帥殿の南の院にて、人々集めて弓あそばししに、
この殿の渡らせ給へれば、
思いかけず、あやしと、中ノ関白殿おぼし驚きて、いみじう饗応し、
申させ給うて、
下﨟(げらふ=げろう)におはしませど、
前に立て奉りて、まづ射させ奉らせ給ひけるに、
帥殿の矢数いま二つ劣り給ひぬ。
現代語訳
帥殿(=伊周公)が、南の院で人々を集めて弓の競射をなさいました折に、
この殿(=道長公)が、おいでになったので、
意外なことで変なことだと、中ノ関白殿(=道隆公)は驚きなさって、
たいそう丁重におもてなし申しあげなさって、
(道長公は、当時伊周公よりも)下級の官位でいらっしゃったけれども、
(競射の順番を)先にし申し上げなさったところ、
(勝負の結果は)帥殿=伊周公の当たった数が、
道長公の当たった数よりももう2本負けなさっていた。
品詞分解
帥殿 | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
南の院 | 名詞 | ||||
にて、 | 格助詞 | ||||
人々 | 名詞 | ||||
集め | マ行下二段活用動詞「集む」連用形 | ||||
て | 接続助詞 | ||||
弓 | 名詞 | ||||
あそばし | サ行四段活用動詞「あそばす」連用形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 語り手=世継⇒帥殿 | なさる |
し | 過去の助動詞「き」連体形 | ||||
に、 | 格助詞 | ||||
こ | 代名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
殿 | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
わたら | ラ行四段活用動詞「わたる」未然形 | ||||
せ | 尊敬の助動詞「す」連用形 | 尊敬語 | 助動詞 | 世継⇒この殿=道長公 | なさる |
給へ | 尊敬の補助動詞「たまふ」已然形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 世継⇒この殿=道長公 | なさる |
れ | 完了の助動詞「り」已然形 | ||||
ば、 | 接続助詞 | ||||
思いかけ | カ行下二段活用動詞「思いかく」未然形 | ||||
ず、 | 打消しの助動詞「ず」連用形 | ||||
あやし | シク活用形容詞「あやし」終止形 | ||||
と、 | 格助詞 | ||||
中ノ関白殿 | 名詞 | ||||
おぼし驚き | カ行四段活用動詞「おぼしおどろく」連用形 | 尊敬語 | 本動詞 | 世継⇒中ノ関白殿=道隆公 | (おどろく)おおどろきになる |
て、 | 接続助詞 | ||||
いみじう | シク活用形容詞「いみじ」連用形「いみじく」のウ音便 | ||||
饗応し | サ行変格活用動詞「饗応す」連用形 | ||||
申さ | 「申す」の未然形 | 謙譲語 | 補助動詞 | 世継⇒道長公 | ~申し上げる |
せ | 尊敬の助動詞「す」の連用形 | 尊敬語 | 助動詞 | 世継⇒中ノ関白殿 | ~なさる |
給う | 尊敬の補助動詞「たまふ」連用形「給ひ」のウ音便 | 尊敬語 | 補助動詞 | 世継⇒中ノ関白殿 | ~なさる |
て、 | 接続助詞 |