む月にをがみたてまつらむとて、小野にまうでたるに、
比叡の山の麓なれば、雪いと高し。
しひて御室にまうでてをがみたてまつるに、
つれづれといと物がなしくておはしましければ、
やや久しくさぶらひて、いにしへのことなど思い出で聞こえけり。
む月 | 名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
をがみ | マ行四段活用動詞「をがむ」連用形 | ||||
たてまつら | ラ行四段活用動詞「奉る」未然形 | 謙譲語 | 補助動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | ~申し上げる |
む | 意志の助動詞「む」終止形 | ||||
とて | 格助詞 | ||||
小野 | 名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
まうで | ダ行下二段活用動詞「まうづ」連用形 | 謙譲語 | 本動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | (行く)参上する |
たる | 完了の助動詞「たり」連体形 | ||||
に、 | 接続助詞 | ||||
比叡の山 | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
麓 | 名詞 | ||||
なれ | 断定の助動詞「なり」已然形 | ||||
ば、 | 接続助詞 | ||||
雪 | 名詞 | ||||
いと | 副詞 | ||||
高し。 | ク活用形容詞「高し」終止形 | ||||
しひて | 副詞 | ||||
御室 | 接頭語+名詞 | 作者⇒惟喬の親王 | |||
に | 格助詞 | ||||
まうで | ダ行下二段活用動詞「まうづ」連用形 | 謙譲語 | 本動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | (行く)参上する |
て | 接続助詞 | ||||
をがみ | マ行四段活用動詞「をがむ」連用形 | ||||
たてまつる | 謙譲語補助動詞ラ行四段活用動詞「奉る」連体形 | 謙譲語 | 補助動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | ~申し上げる |
に、 | 接続助詞 | ||||
つれづれと | 副詞 | ||||
いと | 副詞 | ||||
物がなしく | シク活用形容詞「物がなし」連用形 | ||||
て | 接続助詞 | ||||
おはしまし | サ行四段活用動詞「おはします」連用形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | いらっしゃる |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 | ||||
ば、 | 接続助詞 | ||||
やや | 副詞 | ||||
久しく | シク活用形容詞「ひさし」連用形 | ||||
さぶらひ | ハ行四段活用動詞「さぶらふ」連用形 | 謙譲語 | 本動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | お仕え申し上げる |
て | 接続助詞 | ||||
いにしへ | 名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
こと | 名詞 | ||||
など | 副助詞 | ||||
思い出で | ダ行下二段活用動詞「思ひ出づ」連用形 | ||||
聞こえ | ヤ行下二段活用動詞「聞こゆ」連用形 | 謙譲語 | 本動詞 | 作者⇒惟喬の親王 | (言ふ)申し上げる |
けり。 | 過去の助動詞「けり」終止形 |