大臣も、 「長からずのみ思さるる御世のこなたに」と、

思しつる御参りかひあるさまに見たてまつりなしたまひて、

心からなれど、世に浮きたるやうにて、見苦しかりつる宰相の君も、

思ひなくめやすきさまにしづまりたまひぬれば、御心おちゐ果てたまひて、

「 今は本意も遂げなむ」と、思しなる。

大臣 名詞
も 係助詞
「長から ク活用形容詞「長し」未然形
ず 打消の助動詞「ず」連用形
のみ 副助詞
思さ サ行四段活用動詞「思す」未然形 尊敬語 本動詞 作者→大臣（源氏） お思いになる
るる 自発の助動詞「る」連体形
御世 接頭語+名詞
の 格助詞
こなた 代名詞
に」 格助詞
と 格助詞
思し サ行四段活用動詞「思す」連用形 尊敬語 本動詞 作者→大臣（源氏） お思いになる
つる 完了の助動詞「つ」連体形
御参り 接頭語+名詞
かひ 名詞
ある ラ行変格活用動詞「あり」連体形
さま 名詞
に 格助詞
見 マ行上一段活用動詞「見る」連用形
たてまつり ラ行四段活用動詞「奉る」連用形 謙譲語 補助動詞 作者→明石の姫君 ～申し上げる
なし サ行四段活用動詞「なす」連用形 補助動詞
たまひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形 尊敬語 補助動詞 作者→大臣（源氏） ～なさる
て 接続助詞
心 名詞
から 格助詞
なれ 断定の助動詞「なり」連用形已然形
ど 接続助詞
世 名詞
に 格助詞
浮き カ行四段活用動詞「浮く」連用形
たる 存続の助動詞「たり」連体形
やうに 比況の助動詞「やうなり」の連用形
て 接続助詞
見苦しかり シク活用形容詞「見苦し」連用形
つる 完了の助動詞「つ」連体形
宰相の君 名詞
も 係助詞
思ひ 名詞
なく ク活用形容詞「なし」連用形
めやすき ク活用形容詞「めやすし」連体形
さま 名詞
に 格助詞
しづまり ラ行四段活用動詞「静まる」連用形
たまひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形 尊敬語 補助動詞 作者→宰相の君（夕霧） ～なさる
ぬれ 完了の助動詞「ぬ」已然形
ば 接続助詞
御心 接頭語+名詞
おちゐ果て タ行下二段活用動詞「おちゐ果つ」連用形
たまひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形 尊敬語 補助動詞 作者→大臣（源氏） ～なさる
て 接続助詞
「今 名詞
は 係助詞
本意 名詞
も 係助詞
遂げ ガ行下二段活用動詞「遂ぐ」連用形
な 強意の助動詞「ぬ」未然形
む」 意志の助動詞「む」終止形
と 格助詞
思しなる。 ラ行四段活用動詞「思しなる」終止形 尊敬語 本動詞 作者→大臣（源氏） お思いになる

対の上の御ありさまの、見捨てがたきにも、