助動詞:薄緑のマーカーです
敬語:緑のマーカーです
係り結び:オレンジのマーカーです。
音便:水色マーカーです
はしるはしる、わづかに見つつ、
心も得ず心もとなく思ふ『源氏』を、
一の巻よりして、人も交じらず几帳の内にうち臥して、
引き出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ。
現代語訳
胸をどきどきさせながら、断片的に見ていて
話の筋もよくわからず、もどかしく思っている『源氏物語』を
第一巻からはじめて、他人とも交流せずただ一人几帳の内に身を横たえて、
(物語の草子を)次々と引っ張り出しては読みふける気持ちは、后の位も何になろうか(と思われるほど素晴らしかった。)
品詞分解
はしるはしる | 副詞 |
わづかに | ナリ活用形容詞「わづかなり」連用形 |
見 | マ行上一段活用動詞「見る」連用形 |
つつ、 | 接続助詞 |
心 | 名詞 |
も | 係助詞 |
得 | ア行下二段活用動詞「得(う)」未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」連用形 接続は未然形 [な]ず・ざら/[に]ず・ざり/ず/ぬざる/ね・ざれ/ざれ |
心もとなく | ク活用形容詞「心もとなし」連用形 |
思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 |
『源氏』 | 名詞 |
を | 格助詞 |
一の巻 | 名詞 |
より | 格助詞 |
し | サ行変格活用動詞「す」連用形 |
て | 接続助詞 |
人 | 名詞 |
も | 係助詞 |
交じら | ラ行四段活用動詞「交じる」未然形 |
ず | 打消 の助動詞「ず」連用形 |
几帳 | 名詞 |
の | 格助詞 |
内 | 名詞 |
に | 格助詞 |
うち臥し | サ行四段活用動詞「うち臥す」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
引き出で | ダ行下二段活用動詞「引き出づ」連用形 |
つつ | 接続助詞 |
見る | マ行上一段活用動詞「見る」連体形 |
心地 | 名詞 |
后 | 名詞 |
の | 格助詞 |
位 | 名詞 |
も | 係助詞 |
何 | 名詞 |
に | 格助詞 |
か | 係助詞(係り結び) |
は | 係助詞 |
せ | サ行変格活用動詞「す」未然形 |
む。 | 意志の助動詞「む」連体形(「か」結び)
接続は未然形 |
昼は日暮らし、夜は目の覚めたる限り、灯を近くともして、
これを見るよりほかのことなければ、おのづからなどは、
そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに
現代語訳
昼は一日中、夜は目が冷めている限り、燈火を近くにともして、
これ=『源氏物語』を読む以外に他のことは何もしなかったので、自然と
(人名や、物語の文章などを)そらで思い浮かんでしまうのを、すばらしいことだと思っていると、
品詞分解
昼 | 名詞 |
は | 係助詞 |
日暮らし | 名詞 |
夜 | 名詞 |
は | 係助詞 |
目 | 名詞 |
の | 格助詞 |
覚め | マ行下二段活用動詞「覚む」連用形 |
たる | 存続の助動詞「たり」連体形
接続は連用形 |
限り | 名詞 |
灯 | 名詞 |
を | 格助詞 |
近く | 名詞 |
ともし | サ行四段活用動詞「ともす」連用形 |
て、 | 接続助詞 |
これ | 代名詞 |
を | 格助詞 |
見る | マ行上一段活用動詞「見る」連体形 |
より | 格助詞 |
ほか | 名詞 |
の | 格助詞 |
こと | 名詞 |
なけれ | ク活用形容詞「なし」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
おのづから | 副詞 |
など | 副助詞 |
は、 | 係助詞 |
そらに | ナリ活用形容動詞「そらなり」連用形 |
おぼえ浮かぶ | バ行四段活用動詞「おぼえ浮かぶ」連体形 |
を、 | 格助詞 |
いみじき | シク活用形容詞「いみじ」連体形 |
こと | 名詞 |
に | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 |
に | 接続助詞 |