「なさる」
うちとけて寝たる時などは、
何心もなくおぼえられておどろくも、いといとほしく見ゆ。
品詞分解
うちとけ | カ行下二段活用動詞「うちとく」連用形 |
て | 接続助詞 |
寝 | ナ行下二段活用動詞「寝(ぬ)」連用形 |
たる | 存続の助動詞「たり」連体形 接続は連用形 たら/たり/たり/たる/たれ/たれ |
時 | 名詞 |
など | 副助詞 |
は、 | 係助詞、 |
何心 | 名詞 |
も | 係助詞 |
なく | ク活用形容詞「なし」連用形 |
おぼほれ | ラ行下二段活用動詞「おぼほる」連用形 |
て | 接続助詞 |
おどろく | カ行四段活用動詞「おどろく」連体形 |
も、 | 係助詞、 |
いと | 副詞 |
いとほしく | シク活用形容詞「いとほし」連用形 |
見ゆ。 | ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」終止形 |
心もとなき御程を、
わが心をやりてささげうつくしみ給ふも、ことわりにめでたし。あるときはわりなきわざしかけ奉り給へるを、御紐ひき解きて、御几帳の後にて、あぶらせ給ふ。
品詞分解
心もとなき | ク活用形容詞「心もとなし」連体形 |
御程 | 接頭語+名詞 |
を、 | 格助詞、 |
わ | 代名詞 |
が | 格助詞 |
心 | 名詞 |
を | 格助詞 |
やり | ラ行四段活用動詞「やる」連用形 |
て | 接続助詞 |
ささげ | が行下二段活用動詞「ささぐ」連用形 |
うつくしみ | マ行四段活用動詞「うつくしむ」連用形 |
給ふ | 尊敬語 補助動詞 ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 作者⇒道長への敬意 なさる |
も、 | 係助詞、 |
ことわりに | ナリ活用形容動詞「ことわりなり」連用形 |
めでたし。 | ク活用形容詞「めでたし」終止形 |
ある | 連体詞 |
とき | 名詞 |
は | 係助詞 |
わりなき | ク活用形容詞「わりなし」連体形 |
わざ | 名詞 |
しかけ | カ行下二段活用動詞「しかく」連用形 |
奉り | 謙譲語 補助動詞 ラ行四段活用動詞「奉る」連用形 作者⇒道長への敬意 「~申し上げる」 |
給へ | 尊敬語 補助動詞 ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 作者⇒道長への敬意 |
る | 完了の助動詞「り」連体形 接続はサ変の未然形・四段の已然形 ら/り/り/る/れ/れ |
を、 | 格助詞、 |
御紐 | 接頭語+名詞 |
ひき解き | カ行四段活用動詞「ひきとく」連用形 |
て、 | 接続助詞、 |
御几帳 | 接頭語+名詞 |
の | 格助詞 |
後 | 名詞 |
にて、 | 格助詞 |
あぶら | ラ行四段活用動詞「あぶる」未然形 |
せ | 尊敬の助動詞「す」連用形 作者⇒道長への敬意 接続は四段・ナ変・ラ変の未然形 せ/せ/す/する/すれ/せよ |
給ふ。 | 尊敬語 補助動詞 ハ行四段活用動詞「給ふ」終止形 作者⇒道長への敬意 |
「あはれ、この宮の御尿(しと)にぬるるは、
うれしきわざかな。このぬれたる、あぶるこそ、思ふやうなる心地すれ。」