大鏡雲林院の菩提講品詞分解全訳序ノ一序ノ七

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新編日本古典文学全集 (34) 大鏡

要旨
雲林院の菩提講

(=読経ライブ、みんなで『法華経』読んで天国に行っちゃおうぜという会)に参会した人の中に、

二人の老人と一人の老女が来合わせた。

大宅世継・夏山繁樹・繁樹の後添いの女の三人である。

今回の話で出てくる、二人の老人(登場人物は+作者)はきょうの出会いを喜び、

多年見聞してきたことをここで語り合いたいという。

「ただ今の入道殿下の御有様をも申し合はせばや」

=いまブイブイ言わせている道長さまのことを語ろうぜ!

というところに、

「大鏡」を書いた目的が書かれてます。

また、一部序ノ七の部分も載せておきます。

ここにも『大鏡』の目的が書かれてます。

 

さいつ頃、雲林院の菩提講に詣でて侍りしかば、

例人よりはこよなう年老い、うたてげなる翁ふたり媼といきあひて

同じところにゐぬめり。

 

先ごろ、(わたくし=作者が)、

雲林院の菩提講に参詣いたしましたところ、

普通の人に比べて格別に年をとって、

異様な感じのする爺さん二人と婆さん(一人)とが来会わせて、

同じ場所にすわっていました。

 

品詞分解

さいつ頃、 名詞
雲林院 名詞
格助詞
菩提講 名詞
格助詞
詣で ダ行下二段活用動詞「詣づ」連用形 謙譲語 本動詞 作者⇒雲林院の菩提講 参詣する
接続助詞
侍り 丁寧の補助動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 作者⇒読者  ~ます
しか 過去の助動詞「き」已然形
ば、 接続助詞
例人 名詞
より 格助詞
係助詞
こよなう ク活用形容詞「こよなし」連用形「こよなく」ウ音便
名詞
老い、 ヤ行上二段活用動詞「老ゆ」連用形
うたてげなる ナリ活用形容動詞「うたてげなり」連体形
名詞
ふたり 名詞
名詞
格助詞
いきあひ ハ行四段活用動詞「いきあふ」連用形
接続助詞
同じ シク活用形容詞「同じ」連体形
名詞
格助詞
ワ行上一段活用動詞「ゐる」連用形
強意の助動詞「ぬ」終止形
めり。 婉曲の助動詞「む」終止形

語の解説

さいつ頃  「さき(先)つ頃」のイ音便。「つ」は連体格で「の」の意。後一条天畠の万寿二年(1025年)の五月と思われる。
雲林院 京都市北区紫野にあった天台宗の寺。観音堂が現存する。「うんりんゐん」の「ん」を省いた読み方。「うりゐん・うりゐ」となっている場合もある。
菩提講 極楽往生を求める人のために『法華経』を説教する法会。「菩提」は梵悟Bodhiの音訳。極楽往生・成仏の意の雲林院の菩提講は五月に行なわれた。
詣でて侍りしかば 「詣づ」は参詣するの謙譲語「詣でたり⇒詣でてあり⇒詣でて侍り」で丁寧体になっている。「しかば」は已然形+ばで「~したところ」
例人 普通の人、一般の人。「例の人」になっている本もある。
こよなう 「こよなく」のウ音便。この上なく。格別に
うたてげなる 異様な。怪しげな。信じられないほど年を取った老人だからである。
老女。「おうな・おむな」は「老女」「をうな。をむな」は「女」区別しよう!!
同じ 形は終止形だが、連体形「同じき」と同じように用いられる。上の表では連体形にしましたが、ここは学校の先生に聞いておこう!
ゐぬめり 「ゐ=ゐる」は「すわる」「ぬ」は強意・確述「めり」は婉曲。訳さなくてOK!

大鏡 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 一ヶ月でセンター英語で40点上げて9割とった方法

あはれに同じやうなるもののさまかなと見侍りしに、

これらうち笑ひ見かはしていふやう

「年頃昔の人に対面して、いかで世の中の見聞く事をも聞こえ合はせむ、

このただ今の入道殿下の御有様をも申し合はせばやと思ふに、

あはれに嬉しくもあひ申したるかな。

 

ほんとにまあ、(三人ともそろって)同じような老人たちだなあ
と(思って)見ておりましたところ、

この老人たちは、笑いながら、たがいに顔を見かわして、

(そのうちの一人=大宅の世継が)言うことには、

「年来、わたくしは昔なじみの人にお目にかかって、

何とかして世の中の(今まで)見聞きした事について、

互いに話し合い申したい、

(また)現在の入道殿下(=藤原道長公)のごようすをも

互いに話し合い申したいと思っていましたところ、

ほんとにうれしいことにも、 (このように)

お会い申したことですよ。

あはれに ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
同じ シク活用形容詞「同じ」連体形
やう 名詞
なる 断定の助動詞「なり」連体形
もののさま 名詞
かな 終助詞
格助詞
マ行上一段活用動詞「見る」連用形
侍り 丁寧の補助動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 作者⇒読者 ~ます
過去の助動詞「き」連体形
接続助詞、
これら 代名詞+接尾語
うち笑ひ ハ行四段活用動詞「うち笑ふ」連用形
見かはし サ行四段活用動詞「見かはす」連用形
接続助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」連体形
やう、 名詞
「年頃 名詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
対面し サ行変格活用動詞「対面す」連用形「たいめ」と読む
て、 接続助詞
いかで 副詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
見聞く カ行四段活用動詞「見聞く」連体形
名詞
格助詞
係助詞
聞こえ合はせ 謙譲語サ行下二段活用動詞「聞こえ合はす」未然形 謙譲語 本動詞 爺さんの一人=大宅世継⇒もう一人の爺さん=夏山繁樹 (言ひ合はす)互いに心の隔てなくお話し申し上げる
む、 意志の助動詞「む」終止形
代名詞
格助詞
ただ今 名詞
格助詞
入道殿下 名詞
格助詞
御有様 名詞
格助詞
係助詞
申し合はせ サ行下二段活用動詞「申し合はす」未然形 謙譲語 本動詞 爺さんの一人=大宅世継⇒もう一人の爺さん=夏山繁樹 (言ひ合はす)相談申し上げる。お話申し上げる上の「聞こえ合はす 」と同じ
ばや 希望の終助詞
格助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
に、 接続助詞
あはれに ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
嬉しく シク活用形容詞「嬉し」連用形
係助詞
あひ ハ行四段活用動詞「あふ」連用形
申し サ行四段活用動詞「申す」連用形 謙譲語 補助動詞 翁の一人=大宅世継⇒王ひとりの翁=夏山繁樹 ~申し上げる
たる 完了の助動詞「たり」連体形
かな。 終助詞

語の解説

あはれに しみじみと感動する様子をあらわす。「あはれに~~かな」で「ほんとにまあ~~だなあ」
もののさま 全体で一語として扱う。様子。「もの」は漠然とした対象で、「もののあはれ」のものとおなじ。
いふやう 「やう」は形式名詞。いうことには
年頃 長年。ずっと前から。月ごろ、日ごろなどが類語。
昔の人 1古人2昔馴染みの人ここは2後出の「昔の人」は1
対面して お目にかかって。「たいめ」とよむ。「うりんいん」と同じで「ん」は省く
いかで 「どうして」と疑問・反語をあらわす「む・まし・ばや・がな」などが来るときは、「何とかして・ぜひ」の意味。ここは「~聞こえ合はせ」「~申し合はせばや」と呼応※「む」は連体形!
聞こえ合はせばや 「聞こゆ」は「申し上げる」という意味の謙譲語「ばや」は自己の希望をあらわす。
入道殿下 藤原道長。966-1027年。「入道」は、仏門に入った人。「殿下」は本来は皇族の敬称だが、摂政・関白にも使われるようになった。道長は実際上の関白および摂政の地位を経たので「殿下」、寛仁3年1019年に出家しているので「入道」という。
申し合はせばや 「申す」は「言ふ」の謙譲語。ここは動詞
嬉しくもあひ申したるかな 逢えてうれしい。nice to meet you!ということですね。ここの「申す」は上に動詞「あふ」があるので謙譲補助動詞「~申し上げる」

今ぞ心やすく黄泉路もまかるべき。

おぼしき事いはぬは、げにぞ腹ふくるるここちしける。

 

もうこれで安心して、

あの世にも行くことができそうでございます。

心に思っていることを言わないのは、

(ことわざにもあるように)ほんとうに腹がはっているような

(いやな)気持ちがするものですなあ。

品詞分解

名詞
係助詞(係り結び)
心やすく ク活用形容詞「心やすし」連用形
よみぢ 名詞
係助詞
まかる ラ行四段活用動詞「まかる」終止形 謙譲語 本動詞 大宅世継⇒夏山繁樹 (行く)参る
べき。 可能の助動詞「べし」連体形(「ぞ」結び)
おぼしき シク活用形容詞「おぼし」連体形
名詞
いは ハ行四段活用動詞「いふ」未然形
打消 の助動詞「ず」連体形
は、 係助詞
げに 副詞
係助詞(係り結び)
名詞
ふくるる ラ行下二段活用動詞「ふくる」連体形
ここち 名詞
サ行変格活用動詞「す」連用形
ける。 詠嘆の助動詞「けり」連体形(「ぞ」結び)

語の解説

よみぢ 黄泉路。あの世(冥土)へ行く道。「黄泉」は死者の国。「へ」を補って考える。
まかる 「行く」の謙譲語
おぼしきこと 「おぼし」は「こうありたいと思われる」。こうあってほしいと思うこと。
げに ほんとうに。なるほどそのほんとうに。なるほどそのとおり。前に出ている人のことばや引用文などを受けて、これを肯定する意を表わす。ここは「おぼしき事……わざなり」を肯定したもので、
このことばは、「徒然草」(29段)にもあって、当時のことわざだったようですね。
心地しける  「ける」は、そのことに気づいて詠嘆する意。「思えば~である(であった)」。「げにける」は係り結び!

コメント

誰かに話してスッキリしたい!というのと、

トイレに行って我慢していたアレをだしてスッキリしたい!

というのは同じ感覚なんですね!?

最近、教えている小学生が色気づいてきていて、

やたら好きな人の話や下の話をしてきたがりますが、

彼らの方が大宅世継の感覚に近そうですね。

 

かかればこそ昔の人は、ものいはまほしくなれば、

穴を掘りてはいひ入れ侍りけめと覚え侍り。

 

ですから、昔の人は、何か言いたくなると、

穴を掘っては(その中に思うことを)言い入れ

(て気持ちを晴らし)たのであろうと思われます。

かかれば 接続詞
こそ 係助詞(係り結び)
名詞
格助詞
名詞
は、 係助詞
もの 名詞
いは ハ行四段活用動詞「未然形」
まほしく 希望の助動詞「まほし」連用形
なれ ラ行四段活用動詞「なり」已然形
ば、 接続助詞
名詞
格助詞
堀り ラ行四段活用動詞「掘る」連用形
接続助詞
係助詞
いひ入れ ラ行下二段活用動詞「いひ入る」連用形
侍り ラ行変格活用動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 大宅世継⇒夏山繁樹 ~ます
けめ 過去推量の助動詞「けむ」已然形(「こそ」結び)
格助詞
覚え ヤ行下二段活用動詞「覚ゆ」連用形
侍り。 ラ行変格活用動詞「侍り」終止形 丁寧語 補助動詞 大宅世継⇒夏山繁樹 ~ます

語の解説

昔の人 古人。「穴を掘りて~」は故事がありそうですが、詳しくわかっていないようです。
覚え侍り 「覚え」は「思われる」「侍り」は「~ます」の意味の丁寧の補助動詞

かへすがへす嬉しく対面したるかな。

さても、いくつにかなり給ひぬる」といへば、

 

かえすがえす、お会い申してうれしいことです。

ところで、 (あなたは)いくつにおなりでしたか。」というと、

 

かへすがへす 副詞
嬉しく シク活用形容詞「嬉し」連用形
対面し サ行変格活用動詞「対面す」連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
かな。 終助詞
さても、 接続詞
いくつ 名詞
格助詞
係助詞(係り結び)
なり ラ行四段活用動詞「なり」連用形
給ひ 尊敬の補助動詞ハ行四段活用動詞「給ひ」連用形 尊敬語 補助動詞 大宅世継⇒夏山繁樹 ~なさる
ぬる」 完了の助動詞「ぬ」連体形(「か」結び)
格助詞
いへ ハ行四段活用動詞「いふ」已然形
ば、 接続助詞

語の解説

さても ところで。さて話題を変えるときに使う。

今ひとりの翁、

「いくつといふこと、さらに覚え侍らず。

ただし、おのれは、故太政のおとど貞信公、

蔵人の少将と申しし折の小舎人童大犬丸ぞかし。

 

もう一人の老人=夏山繁樹が、

「いくつということはいっこう覚えておりません。

しかし、私は、故太政大臣貞信公が、

(まだ)蔵人の少将と申しあげた時分の、

小舎人童(としてお仕えしていた)大犬丸ですよ。

 

副詞
ひとり 名詞
格助詞
翁、 名詞
「いくつ 名詞
格助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」連体形
こと、 名詞
さらに 副詞
覚え ヤ行下二段活用動詞「覚ゆ 」連用形
侍ら ラ行変格活用動詞「侍り」未然形 丁寧語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~ます
ず。 打消 の助動詞「ず」終助詞
ただし、 接続詞
おのれ 名詞
は、 格助詞
故太政のおとど貞信公、 名詞
蔵人の少将 名詞
格助詞
申し サ行四段活用動詞「申す」連用形 謙譲語 本動詞 夏山繁樹⇒故太政のおとど貞信公=藤原忠平 (世間の人々が)申し上げる
過去の助動詞「き」連体形
名詞
格助詞
小舎人童大犬丸 名詞
係助詞
かし。 終助詞

語の解説

今ひとりの翁 もう一人の老人。夏山繁樹
さらに 下に打消し語が来たときは、「決して、まったく・少しも」の意味「さらに~覚え侍ら」の「ず」が打消。「まったく~ない」「決して~ない」で覚えておこう!
貞信公 藤原忠平880-949年。936年=承平6年から死ぬまで太政大臣だった。貞信公は、藤原忠平の諡(おくりな)死んだ後に、生前の業績にもとづいて送る称号のこと。忠平が「蔵人の少将」だったのは895年=寛平7年ごろ
蔵人の少将 近衛の少将で、五位の蔵人をかねている人
申しし 世間の人が申し上げた忠平に対する話し手=繁樹の敬意「~でいらっしゃった」とほぼ同じ。
小舎人童 近衛の中将・少将などに召し使われる少年。大犬丸は繁樹の童名。

主はその御時の母后の宮の御方のめしつかひ

高名の大宅の世継とぞいふ侍りしかしな。

 

(夏山繁樹)あなたは、その御代の(帝の)母后の宮様の御所の召使で

有名な大宅の世継といいましたなあ。

 

名詞
係助詞
代名詞
格助詞
御時 名詞
格助詞
母后の宮の御方 名詞
格助詞
めしつかひ 名詞
高名 名詞
格助詞
大宅の世継 名詞
格助詞
係助詞(係り結び)
いひ ハ行四段活用動詞「いふ」連用形
侍り 丁寧の補助動詞ラ行変格活用動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~ます
過去の助動詞「き」連体形(「ぞ」結び)
かし 終助詞
な。 終助詞

語の解説

あなた。敬意を表した言い方。
その御時 宇多天皇の御代
母后の宮 母である后の意味で、皇太后を指す。宇多天皇の御母后。光孝天皇の皇后てあった班子女王(833-900年)のこと。宇多天皇の皇后の藤原胤子(いんし)(?-896年)とする説もある。
大宅世継 『大鏡』の中で、中心となる話手とされている老人の名。公=パブリックな代々の歴史を語る者という意味をこめた架空の人名。
とぞいひ侍りしかしな 「と~り」が係結ぴ。係結びで完結した文のあとに、終助詞の「かし(念を押して意味を強める)」「な(感動)」のついた形。
このような場合は結びが流れたとはいわない。

大鏡 (古典を読む 11)

されば、主の御年は、おのれにはこよなくまさり給へらむかし。

みづからが小童にてありし時、

主は二十五、六ばかりのをのこにてこそはいませしか」といふめれば、

(夏山繁樹)すると、あなた(=大宅世継)のお年は、私よりは、ずっと上でいらっしゃるでしょう。

私(夏山繁樹)が(まだ)ほんの子供であった時分に、

あなた(大宅世継)は(たしか)二十五、六歳ぐらいの

一人まえの男でいらっしゃいました。」と言うと、

 

されば、 接続詞
名詞
格助詞
御年 名詞
は、 係助詞
おのれ 名詞
格助詞
係助詞
こよなく ク活用形容詞「こよなし」連用形
まさり ラ行四段活用動詞「まさる」連用形
給へ 尊敬の補助動詞「給ふ」ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 尊敬語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~なさる
完了の助動詞「る」未然形
推量の助動詞「む」終止形
かし。 終助詞
みづから 名詞
格助詞
小童 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
接続助詞
あり 補助動詞ラ行変格活用動詞「あり」連用形
過去の助動詞「き」連体形
時、 名詞
名詞
係助詞
二十五、六 名詞
ばかり 副助詞
格助詞
をのこ 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
接続助詞
こそ 係助詞(係り結び)
係助詞
いませ サ行四段活用動詞「います」連用形 尊敬語 補助動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 (あり)いらっしゃる
しか」 過去の助動詞「き」已然形
格助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」終止形
めれ 推量の助動詞「めり」已然形
ば、 接続助詞

語の解説

まさり給へらむかし 「ら」は完了「り」の未然形で「ている」の意味。まさっていらっしゃるでしょう。
みづから 私。自称の代名詞。
いませしか 「います」は補助助詞「(にて)あり」の尊敬語。「……(で)いらっしゃる。」「しか」は上の「をのこにてこそ」の結び。
大宅世継 大鏡の中で、中心となる詰
手とされている老人の名。

世継、「しかしか、さ侍りしことなり。

さても、主の御名はいかにぞや」といふめれば、

 

世継は、「さようさよう、そのとおりでした。

ところで、あなたのお名まえは、何と申されますか。」と言うと、

一ヶ月でセンター英語で40点上げて9割とった方法

世継 名詞
「しかしか、 感動詞
副詞
侍り 丁寧の補助動詞ラ行変格活用動詞「侍り」連用形 丁寧語 補助動詞 大宅世継⇒夏山繁樹 ~ます~です
過去の助動詞「き」連体形
こと 名詞
なり。 断定の助動詞「なり」終止形
さても、 接続詞
名詞
格助詞
御名 名詞
係助詞
いかに ナリ活用形容動詞「いかなり」連用形副詞
係助詞終助詞
や」 係助詞終助詞
格助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」終止形
めれ 推量の助動詞「めり」已然形
ば、 接続助詞

語の解説

さ侍りし そうでした。「さありし」の丁寧
いかにぞや 「いかに」は副詞とする説と形容動詞「いかなり」の連用形の二つの説があります。この辺りは学校の先生の方針に従いましょうね!

「故太政大臣殿にて元服つかまつりし時、

『きむぢが姓はなにぞ』と仰せられしかば、

『夏山となむ申す』と申ししを、

やがて繁樹となむつけさせ給へりし」

などいふに、いとあさましうなりぬ。

「(私が)故太政大臣のお邸で元服いたしました時、

(貞信公が)『おまえの姓は何というか。』とおっしゃいましたので、

『夏山と申します。』と申しましたところ

そのまま(夏山にちなんで)繁樹とお名づけになりました。」

などと言うので、(あまり古い話なものですから)

すっかり驚きあきれてしまいました。

 

「故太政大臣殿 名詞
にて 格助詞
元服 名詞
つかまつり ラ行四段活用動詞「つかまつる」連用形 丁寧語 本動詞 夏山繁樹⇒大宅世継 ~いたす~ます
過去の助動詞「き」連体形
時、 名詞
『きむぢ 代名詞
格助詞
名詞
係助詞
なに 代名詞
ぞ』 係助詞終助詞
格助詞
仰せ 尊敬語サ行下二段活用動詞「仰す」未然形 尊敬語 本動詞 夏山繁樹⇒貞信公=藤原忠平 (言ふ)おっしゃる
られ 尊敬の助動詞「らる」連用形 尊敬語 助動詞「 夏山繁樹⇒貞信公=藤原忠平 ~なさる
しか 過去の助動詞「き」已然形
は、 接続助詞
『夏山 名詞
格助詞
なむ 係助詞(係り結び)
申す』 丁寧語サ行四段活用動詞「申す」連体形(「なむ」結び) 丁寧語 本動詞 夏山繁樹⇒貞信公ー藤原忠平 (言ふ)言います申します
格助詞
申し 謙譲語サ行四段活用動詞「申す」連用形 謙譲語 本動詞 夏山繁樹⇒貞信公=藤原忠平 申し上げる
過去の助動詞「き」連体形
を、 格助詞
やがて 副助詞
繁樹 名詞
格助詞
なむ 係助詞(係り結び)
つけ カ行下二段活用動詞「つく」未然形
させ 尊敬の助動詞「さす」連用形 尊敬語 助動詞 夏山繁樹⇒貞信公=藤原忠平 ~なさる
給へ ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 尊敬語 補助動詞 夏山繁樹⇒貞信公=藤原忠平 ~なさる
完了の助動詞「り」連用形
し」 過去の助動詞「き」連体形(「なむ」結び)
など 副助詞
いふ ハ行四段活用動詞「いふ」連体形
に、 接続助詞
いと 副詞
あさましう シク活用形容詞「あさまし」連用形「あさましく」ウ音便
なり ラ行四段活用動詞「なる」連用形
ぬ。 完了の助動詞「ぬ」終止形

語の解説

元服 男子の成人式。11歳から15歳くらいまでに行う。髪を結い、冠をかぶり、大人の服を着る。※市長の長い話や騒ぐヤンキーなどはいない。たぶん同窓会もない。
つかまつり 「つかまつる」は「す・なす・つくる」などの謙譲語。「~いたす」
きむぢ きみ。なんじ。おまえ。対称の代名詞。二人称の代名詞。※きむぢ、テストで死に給うことなかれ。
夏山となむ申す 「夏山」は自分のことなので、この「申す」は「言う」丁寧語。「なむ~申す」で係り結んどいてくださいね
やがて そのまま。姓が夏山なので、その関係で、そのまま繁樹とつけたということ。夏山は5月生まれにちなんだ姓。※冬山だったら、枯れ木という名前だったかもしれませんね。
繁樹 夏山繁樹。世継の話し相手をして、時折自分の見聞や意見を語る。
あさましう 「あさましく」のウ音便。「あさまし」はあまりに意外でおどろきあきれる」。プラス、マイナス両方の意味で使います。ここでは、「古っ!」ということで驚きあきれてます。

序七につづく

このあと、この二人の老人の出会いに、

30歳くらいの侍が興味を持って、話しかけます。

世継は、自分の年齢は190歳、

繁樹は180歳くらいになるはずだといいます。

そして、世継は講師=読経アーティスト=坊さんを待つ間、

昔物語をして聞かせようと提案します。

ここから飛んで、序の七に入ります。

一ヶ月でセンター英語で40点上げて9割とった方法

「まめやかに世継が申さむことは、ことごとかは。

ただ今の入道殿下の御ありさまの、よにすぐれておはしますことを、

道俗男女の御前にて申さむと思ふが、いとこと多くなりて、

あまたの帝王・后、また、大臣・公卿の御上を続くべきなり。

その中に、幸ひ人におはします、この御ありさま申さむと思ふほどに、

世の中のこと隠れなくあらはるべきなり。」

 

(世継はさらにことばをついで)

「真実、私(世継)がお話し申そうと思っている事は、

ほかの事ではありません。

現在の入道殿下(道長公)の御有様が

一世にすぐれていらっしゃることを、

(お集まりの)道俗男女の皆様の御面前で

お話し申そうと思う(のですが、それが)、

たいそう話の範囲が広がって、

多くの帝・后、また大臣・公卿といったお方々について、

つぎつぎとお話し申すことになってゆくのです。

それらの方々の中で(第一の)幸連児でいらっしゃる

この(入道殿下の)御有様をお話し申そうとしているうちに、

世の中の事がらが残らず明らかになってゆくはずです。

 

品詞分解

まめやかに ナリ活用形容動詞「まめやかなり」連用形
世継 名詞
格助詞
申さ 謙譲語サ行四段活用動詞「申す」未然形 謙譲語 本動詞 大宅世継⇒夏山繁樹、侍、周りの人々 (言ふ)申し上げる
意志の助動詞「む」終止形
格助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
名詞
係助詞
異事 名詞
かは。 反語
ただ今 名詞
格助詞
入道殿下 名詞
格助詞
御ありさま 名詞
の、 格助詞
名詞
格助詞
すぐれ ラ行下二段活用動詞「すぐる」連用形
接続助詞
おはします 尊敬の補助動詞サ行四段活用動詞「おはします」連体形  尊敬語 補助動詞 大宅世継⇒藤原道長  ~いらっしゃる
こと 名詞
を、 格助詞
道俗男女 名詞
格助詞
御前 名詞
にて 格助詞
申さ 謙譲語サ行四段活用動詞「申す」未然形  謙譲語 本動詞 大宅世継⇒周りのみんな (言ふ)申し上げる
意志の助動詞「む」終止形
格助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
が、 格助詞
いと 副詞
名詞
多く ク活用形容詞「多し」連用形
なり ラ行四段活用動詞「なる」連用形
て、 接続助詞
あまた 副詞
格助詞
帝王・后、 名詞
また 接続詞
大臣・公卿 名詞
格助詞
御上 名詞
格助詞
続く カ行下二段活用動詞「続く」終止形
べき 当然の助動詞「べし」連体形
なり。 断定の助動詞「なり」終止形
代名詞
格助詞
名詞
格助詞
幸人 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
おはします 「おはします」連体形  尊敬語 補助動詞 大宅世継⇒藤原道長 ~いらっしゃる
代名詞
格助詞
御ありさま 名詞
申さ 謙譲語サ行四段活用動詞「申す」未然形  謙譲語 本動詞 大宅世継⇒周りのみんな ~申し上げる
意志の助動詞「む」終止形
格助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
ほど 名詞
に、 格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
隠れなく ク活用形容詞「かくれなし」連用形
あらはる ラ行下二段活用動詞「あらはる」終止形
べき 当然の助動詞「べし」連体形
なり。 断定の助動詞「なり」終止形

 

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語の解説

まめやかに まじめに。真実に。
異事かは 他のことではない。道長の栄華について話したいのだの意味。
入道殿下 道長のこと
世に 1下に形容詞・形容動詞が来るときには、副詞で、「実に、非常に、はなはだ」。2下に打消の語を伴って、副詞で「けっして、よもや」3下に動詞や形容詞「なし」がきて、名詞「世」+格助詞「に」で、「世の中に」ここは「すぐれておはします」が状態をあらわすので、1ともとれるが、「一世にすぐれて」とみて3にとる。※学校の先生に確認しておこう!
すぐれておはします  「すぐれたり」⇒「すぐれてあり」⇒ 「すぐれておはします」。「(て)おはします」は「(て)いらっしゃる」意の尊敬補助動詞。
道俗男女 「道」は仏道にはいった人。僧尼。出家した人。「俗」は出家しない人。在家の人。道俗男女でそこに居会わせたすべての人。
思ふが 「が」は主格の助詞。「思ふその事が」の意。
言多くなりて 話すべきことがたくさんになって。話の範囲が広まって。話が多方面にわたって。
主として皇后・中宮。
大臣 大臣は大政大臣・左大臣・右大臣(以上を三公という)と内大臣。「大臣・公卿」は上流貴族を言うときの慣用表現。
公卿 「公」は大臣。 「卿」は大納言・中納言・参議までの職をいい、位は三位以上)。参議は四位でもよい)=上達部。「大臣・公卿」というとき
の公卿は大臣を除いたものをいう。
御上 御身の上。御身についての言。
続くべきなり 「べき」は当然。当然、言及してゆくことになるのである。
その中に 上は帝から下は公卿に至るまで、これから述べてゆく人々の中で。
幸人 幸福者。幸運児。
におはします 「なり」⇒「にあり」⇒「におはします」「に」は断定の助動詞「なり」
この 「こ」は道長
あらはるべきなり 「べき」は当然。明らかになってゆくはずである。

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