いづこにとまるべきにか」と、いふかひなげにとりなしたまへば、
現代語訳
(紫の上は)少し微笑んで、
(今夜女三の宮の所に出かけるのが「ことわり」か、
ここにとどまって朱雀院の不興を買うか、)
「ご自分の御心でさえ決めることがおできにならないようなのに、
まして(他人の私など)道理ともなんであるかも、
どちらに決められたらよろしいのか(わかりません)。」
と(源氏が)何を言っても仕方がない様子で
おあしらいになるので
すこし | 副詞 | ||||
ほほ笑み | マ行四段活用動詞「ほほ笑む」連用形 | ||||
て | 接続助詞 | ||||
「みづから | 代名詞 | ||||
の | 格助詞 | ||||
御心 | 接頭語+名詞 | ||||
ながら | 接続助詞 | ||||
だに | 副助詞 | ||||
え | 副詞 | ||||
定め | マ行下二段活用動詞「定む」連用形 | ||||
たまふ | ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 紫の上→源氏 | ~なさる |
まじか | 打消推量の助動詞「まじ」連体形「まじかる」撥音便「まじかん」の「ん」無表記形 | ||||
なる | 断定の助動詞「なり」連体形 | ||||
を | 接続助詞 | ||||
まして | 副詞 | ||||
ことわり | 名詞 | ||||
も | 係助詞 | ||||
何 | 代名詞 | ||||
も | 係助詞 | ||||
いづこ | 代名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
とまる | ラ行四段活用動詞「とまる」終止形 | ||||
べき | 当然の助動詞「べし」連体形 | ||||
に | 断定の助動詞「なり」連用形 | ||||
か」 | 係助詞(係り結びは省略されている) | ||||
と | 格助詞 | ||||
いふかひなげに | ナリ活用形容動詞「いふかひなげなり」連用形 | ||||
とりなし | サ行四段活用動詞「とりなす」連用形 | ||||
たまへ | ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者→紫の上 | ~なさる |
ば | 接続助詞 |
恥づかしうさへおぼえたまひて、 つらづゑをつきたまひて、
寄り臥したまへれば、
硯を引き寄せたまひて、
「 目に近く移れば変はる世の中を行く末遠く頼みけるかな 」
古言など書き交ぜたまふを、
現代語訳
(源氏は)きまり悪くさえお思いなって、頬杖をおつきになって、
(困ったという表情で紫の上に甘えて、
みすかされた照れ隠しに、紫の上の機嫌を取ろうとして