)寄り臥していらっしゃると、
(紫の上は源氏に背を向け、正座して)硯を引き寄せなさって
目の前で変わればこうも変わるあなたとの夫婦仲であるのに、行く末長くとあてにしていましたとは
(自分の心中を託す)古歌なども一緒に混ぜてお書きになるのを、
恥づかしう | シク活用形容詞「恥づかし」連用形「恥づかしく」ウ音便 | ||||
さへ | 副助詞 | ||||
おぼえ | ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」連用形 | ||||
たまひ | ハ行四段活用動詞「給ふ」未然形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者→源氏 | ~なさる |
て | 接続助詞 | ||||
つらづゑ | 名詞 | ||||
を | 格助詞 | ||||
つき | カ行四段活用動詞「つく」連用形 | ||||
たまひ | ハ行四段活用動詞「給ふ」未然形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者→源氏 | ~なさる |
て | 接続助詞 | ||||
寄り臥し | サ行四段活用動詞「寄り臥す」連用形 | ||||
たまへ | ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者→源氏 | ~なさる |
れ | 完了の助動詞「り」已然形 | ||||
ば | 接続助詞 | ||||
硯 | 名詞 | ||||
を | 格助詞 | ||||
引き寄せ | サ行四段活用動詞「引き寄す」連用形 | ||||
て | 接続助詞 | ||||
「目 | 名詞 | ||||
に | 格助詞 | ||||
近く | ク活用形容詞「近し」連用形 | ||||
移れ | ラ行四段活用動詞「移る」已然形 | ||||
ば | 接続助詞 | ||||
変はる | ラ行四段活用動詞「変はる」連体形 | ||||
世の中 | 名詞 | ||||
を | 接続助詞 | ||||
行く末 | 名詞 | ||||
遠く | ク活用形容詞「遠し」連用形 | ||||
頼み | マ行四段活用動詞「頼む」連用形 | ||||
ける | 過去の助動詞「けり」連体形 | ||||
かな」 | 終助詞(詠嘆) | ||||
古言 | 名詞 | ||||
など | 副助詞 | ||||
書きまぜ | ザ行下二段活用動詞「書きまず」連用形 | ||||
たまふ | ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 | 尊敬語 | 補助動詞 | 作者→紫の上 | ~なさる |
を | 格助詞 |
取りて見たまひて、
はかなき言なれど、げにと、ことわりにて、
「命こそ絶ゆとも絶えめ定めなき世の常ならぬ仲の契りを 」
現代語訳
(源氏は)手にとってご覧になり、なんでもない歌であるけれども