源氏物語須磨の秋品詞分解現代語訳助動詞敬語

須磨2琴をすこしかき鳴らし給へが、われながらいとすごう聞こゆれば、弾きさし給ひて、

現代語訳

琴を少しかき鳴らしなさっている音が、我ながらとてもぞっとするほど寂しく聞こえるので、途中まで弾きかけておやめになって、

品詞分解

名詞
格助詞
すこし 副詞
かき鳴らし サ行四段活用動詞「かき鳴らす」連用形
給へ 尊敬語補助動詞

ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形

筆者⇒源氏

完了の助動詞「り」連体形

接続はサ変の未然形・四段の已然形
ら/り/り/る/れ/れ

が、 格助詞
われ 代名詞
ながら 接続助詞
いと 副詞
すごう ク活用形容詞「すごし」連用形「すごく」ウ音便
聞ゆれ ヤ行下二段活用動詞「きこゆ」已然形
ば、 接続助詞
弾きさし サ行四段活用動詞「弾きさす」連用形
給ひ 尊敬の補助動詞

ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形

筆者⇒源氏

て、 接続助詞

恋ひわびてなく音にまがふ浦波は思ふかたより風吹くらむ

現代語訳

都の人を恋わずらって、泣く私の鳴き声に似通う浦波の音は、

私の恋しく思う都の方から風が吹くからであろうか。

品詞分解

恋ひわび バ行上二段活用「恋ひわぶ」連用形
接続助詞
なく カ行四段活用動詞「なく」連体形
名詞
格助詞
まがふ ハ行四段活用動詞「まがふ」連体形
浦波 名詞
係助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
かた 名詞
より 格助詞
名詞
係助詞(係り結び)
吹く カ行四段活用動詞「吹く」終止形
らむ 現在推量の助動詞「らむ」連体形(「や」の結び)

接続は終止形(ラ変型は連体形)
◯/◯/らむ/らむ/らめ/◯

 

とうたひ給へに、人々おどろきて、めでたうおぼゆるに忍ばで、

あいなう起きゐつつ、鼻を忍びやかにかみわたす。

現代語訳

とお歌いになっていると、人々ははっと目が覚めて、

すばらしいと感ずるにつけてもこらえきれなくて、

心ならずも一人一人起きて座っては、めいめい鼻をひっそりとかむ。

品詞分解

格助詞
うたひ ハ行四段活用動詞「うたふ」連用形
給へ 尊敬の補助動詞「給ふ」

ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形

筆者⇒源氏

完了の助動詞「り」連体形

接続はサ変の未然形・四段の已然形
ら/り/り/る/れ/れ

に、 接続助詞
人々 名詞
おどろき カ行四段活用動詞「おどろく」連用形
て、 接続助詞
めでたう ク活用形容詞「めでたし」連用形「めでたく」ウ音便
おぼゆる ヤ行下二段活用動詞「おぼゆ」連体形
接続助詞
忍ば バ行四段活用動詞「忍ぶ」未然形
可能の助動詞「る」未然形

接続は四段・ナ変・ラ変の未然形
れ/れ/る/るる/るれ/れよ

で、 接続助詞
あいなう ク活用形容詞「あいなし」連用形「あいなく」ウ音便
起き カ行上二段活用動詞「起く」連用形
ワ行上一段活用動詞「ゐる」連用形
つつ、 接続助詞
名詞
格助詞
忍びやかに ナリ活用形容動詞「忍びやかなり」連用形
かみわたす。 サ行四段活用動詞「かみわたす」終止形