須磨11

その夜、上のいとなつかしう昔物語などし給ひ御さまの、

院に似たてまつり/給へり/しも、恋しく思ひ出で聞こえ/給ひて、

「恩賜の御衣は今ここにあり」と誦じつつ入り給ひ

現代語訳

その夜、朱雀帝がまったくいつも側におりたい感

じで昔話などをなさった御様子が、桐壺院にお似

申し上げになっていたのも、

恋しくお思い出し申し上げになって、

「恩賜の御衣は今ここにあり」

と声を出してお読みになりながら奥にお入りになってしまった。

品詞分解

代名詞
格助詞
夜、 名詞
名詞
格助詞
いと 副詞
なつかしう シク活用形容詞「なつかし」連用形「なつかしく」ウ音便
昔物語 名詞
など 副助詞
サ行変格活用動詞「す」連用形
給ひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形

尊敬語補助動詞

筆者⇒上

過去の助動詞「き」連体形

接続は連用形(カ変・サ変は特別)
せ/◯/き/し/しか/◯

御さま 名詞
の、 格助詞
名詞
格助詞
ナ行上一段活用動詞「似る」連用形
奉り 謙譲語ラ行四段活用動詞「奉る」連用形

筆者⇒院

給へ ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形

尊敬語補助動詞

筆者⇒上

完了の助動詞「り」連用形

接続はサ変の未然形・四段の已然形
ら/り/り/る/れ/れ

過去の助動詞「き」連体形

接続は連用形(カ変・サ変は特別)
せ/◯/き/し/しか/◯

も、 係助詞
恋しく シク活用形容詞「恋し」連用形
思ひ出で ダ行下二段活用動詞「思ひ出づ」連用形
聞こえ 謙譲語ヤ行下二段活用動詞「聞こゆ」連用形

筆者⇒上

給ひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形

尊敬語補助動詞

筆者⇒源氏

て、 接続助詞
「恩賜 名詞
格助詞
御衣 名詞
係助詞
名詞
ここ 代名詞
格助詞
あり」 ラ行変格活用動詞「あり」」終止形
格助詞
誦じ サ行変格活用動詞「誦す」連用形
つつ 接続助詞
入り ラ行四段活用動詞「入る」連用形
給ひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形

尊敬語補助動詞

筆者⇒源氏

ぬ。 完了の助動詞「ぬ」終止形

接続は連用形
な/に/ぬ/ぬる/ぬれ/ね

御衣はまことに身をはなた、かたはらに置き給へ

現代語訳

御召物は本当に身を離さず、側にお置きになってある。

品詞分解

御衣 名詞
係助詞
まことに 副詞
名詞
格助詞
放た タ行四段活用動詞「放つ」未然形
ず、 打消の助動詞「ず」連用形

接続は未然形
[な]ず・ざら/[に]ず・ざり/ず/ぬざる/ね・ざれ/ざれ

かたはら 名詞
格助詞
置き カ行四段活用動詞「置く」連用形
給へ ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形

尊敬語補助動詞

筆者⇒源氏

り。 完了の助動詞「り」終止形

接続はサ変の未然形・四段の已然形
ら/り/り/る/れ/れ

源氏

うしとのみひとへにものは思ほえで

ひだりみぎにもぬるる袖かな

現代語訳

つらいとばかり一途に物は思われないで、

左も右もそれぞれの涙で濡れる袖であるよ。

品詞分解

うし ク活用形容詞「うし」終止形
格助詞
のみ 副助詞
ひとへに 副詞
もの 名詞
係助詞
思ほえ ヤ行下二段活用動詞「思ほゆ」未然形
接続助詞
ひだりみぎ 名詞
格助詞
係助詞
ぬるる ラ行下二段活用動詞「ぬる」連体形
名詞
かな 終助詞

 

 

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