須磨5なつかしうめでたき御さまに、世のもの思ひわすれて、

近う馴れつかうまつるをうれしきことにて、

四五人ばかりぞつと侍ひける。

現代語訳

いつも側におりたくすばらしい源氏のご様子に世の中の物思いを忘れて、

側近くなじみお仕えするのをうれしいこととして、

四、五人ほどがじっと側にお仕えした。

品詞分解

なつかしう シク活用形容詞「なつかし」連用形「なつかしく」ウ音便
めでたき ク活用形容詞「めでたし」連体形
御さま 名詞
に、 格助詞
名詞
格助詞
もの思ひ 名詞
忘れ ラ行下二段活用動詞「忘る」連用形
て、 接続助詞
近う ク活用形容詞「近し」連用形ウ音便
馴れ ラ行下二段活用動詞「馴る」連用形
つかうまつる ラ行四段活用動詞「つかうまつる」連体形
格助詞
うれしき シク活用形容詞「うれし」連体形
こと 名詞
にて、 格助詞
四五人 名詞
ばかり 副助詞
係助詞(係り結び)
つと 副詞
侍ひ ハ行四段活用動詞「侍ふ」連用形
ける。 詠嘆の助動詞「けり」連体形(「ぞ」の結び)

前栽の花いろいろ咲き乱れ、おもしろき夕暮に、

海見やらるる廊に出で給ひて、たたずみ給ふ御さまの、

ゆゆしうきよらなること、

所がらはましてこの世のものと見え給はず。

現代語訳

庭前に植え込んだ草木の花が、さまざまの色に咲き乱れ、

明るく華やかな感じの夕暮れに、

海が自然に眺められる廊にお出になって、

たたずみなさる源氏のご様子の、

尊く美しいことが、場所が場所だけに

なお一層この人間世界のものとお見えにならない。

品詞分解

前栽 名詞
格助詞
名詞
いろいろ 副詞
咲き乱れ、 ラ行下二段活用動詞「咲き乱る」連用形
おもしろき ク活用形容詞「おもしろし」連体形
夕暮 名詞
に、 格助詞
名詞
見やら ラ行四段活用動詞「見やる」未然形
るる 自発の助動詞「らる」連体形
名詞
格助詞
出で ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形
給ひ 尊敬の補助動詞「給ふ」連用形
て、 接続助詞
たたずみ マ行四段活用動詞「たたずむ」連用形
給ふ 尊敬の補助動詞「給ふ」連体形
御さま 名詞
の、 格助詞
ゆゆしう シク活用形容詞「ゆゆし」連用形ウ音便
きよらなる ナリ活用形容動詞「きよらなり」連体形
こと、 名詞
所がた 名詞
係助詞
まして 副詞
この世 名詞
格助詞
もの 名詞
格助詞
見え ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」連用形
給は 尊敬の補助動詞「給ふ」未然形
ず。 打消