須磨9親の常陸になりて下りしにもさそはれで、参れるなりけり。

現代語訳

親が常陸介になって任国に下った時にもついていかないで、

源氏のもとに参上していたのであったよ。

品詞分解

名詞
格助詞
常陸 名詞
格助詞
なり ラ行四段活用動詞「なる」連用形
接続助詞
下り ラ行四段活用動詞「下る」連用形
過去の助動詞「き」連体形
格助詞
係助詞
さそは ハ行四段活用動詞「さそふ」未然形
受身の助動詞「る」未然形
で、 接続助詞
参れ ラ行四段活用動詞「参る」已然形
完了の助動詞「り」連体形
なり 断定の助動詞「なり」連用形
けり。 詠嘆の助動詞「けり」終止形

下には思ひくだくべかめれど、

ほこりかにもてなして、つれなきさまにしありく。

現代語訳

心の中では千々に気持ちが乱れているに違いないようであるけれど、

意気揚々とふるまって、さりげない様子で事をなしつつ日を送る。

品詞分解

名詞
格助詞
係助詞
思ひくだく カ行四段活用動詞「思ひ くだく」終止形
べか 推量の助動詞「べし」連体形
めれ 推量の助動詞「めり」已然形
ど、 接続助詞
ほこりかに ナリ活用形容動詞「ほこりかなり」連用形
もてなし サ行四段活用動詞「もてなす」連用形
て、 接続助詞
つれなき ク活用形容詞「つれなし」連体形
さま 名詞
格助詞
しありく。 カ行四段活用動詞「しありく」終止形

月のいとはなやかにさし出でたるに、今宵は十五夜なりけり、

と思し出でて、殿上の御遊恋しく、所々ながめ給ふらむかしと、

思ひやり給ふ

現代語訳

月が実に目が覚めるように美しく輝き出たので、

今夜は十五夜であったよ、と(源氏は)お思いだしになって、

清涼殿の殿上での管弦の演奏が恋しく、

あちこちの方々は物思いに沈んでじっと御覧になっているであろうよと、

御想像になるにつけても、

月の顔ばかりが自然にじっと見つめられなさる。

品詞分解

名詞
格助詞
いと 副詞
はなやかに ナリ活用形容動詞「はなやかなり」名詞
さし出で ダ行下二段活用動詞「さし出づ」連用形
たる 完了の助動詞「たり」連体形
に、 接続助詞
今宵 名詞
係助詞
十五夜 名詞
なり 断定の助動詞「なり」連用形
けり、 詠嘆の助動詞「けり」終止形
格助詞
思し出で ダ行下二段活用動詞「思し出づ」連用形
て、 接続助詞
殿上 名詞
格助詞
御遊 名詞
恋しく、 シク活用形容詞「恋し」連用形
所々 名詞
ながめ マ行下二段活用動詞「ながむ」連用形
給ふ ハ行四段活用動詞「給ふ」終止形
らむ 推量の助動詞「らむ」終止形
かし 終助詞
と、 格助詞
思ひやり ラ行四段活用動詞「思ひやる」連用形
給ふ ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形
格助詞
つけ カ行下二段活用動詞「つく」連用形
接続助詞
も、 係助詞
名詞
格助詞
名詞
のみ 副助詞
まもら ラ行四段活用動詞「まもる」未然形
自発の助動詞「る」連用形
給ふ。 ハ行四段活用動詞「給ふ」終止形