(四句切れ 体言止め)
[/speech_bubble]現代語訳
大江山を越え、生野を通る(母和泉式部のいる丹後への)道のりが遠いので、
まだ(母和泉式部のいる丹後のあの有名な)天の橋立を自分の足で踏んでみたこともなければ、母からの手紙をみていません。
ポイント
コシャリ
まだ「ふみ」も見ずは
- 「踏み」=足で踏む=行く
- 「文」=手紙
の掛詞になっています。
このパターンを覚えておこう!
品詞分解
大江山 | 名詞 |
いくの | 名詞 |
の | 格助詞 |
道 | 名詞 |
の | 格助詞 |
遠けれ | ク活用形容詞「遠し」已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
まだ | 副詞 |
ふみ | 名詞 |
も | 係助詞 |
み | マ行上一段活用動詞「みる」未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」終止形 |
天の橋立 | 名詞 |
と詠みかけけり。思はずにあさましくて、「こはいかに。」
とばかり言ひて、返しにも及ばず、袖を引き放ちて逃げられにけり。
小式部、これより、歌詠みの世おぼえ出で来にけり。
現代語訳
と(小式部内侍は定頼の中納言に)詠みかけた。定頼の中納言は思いがけず(小式部内侍のみごとな歌の詠みに)驚いて、
定頼の中納言
これはどうしたものだ
とだけ言って、小式部内侍への返歌も出来ず、小式部内侍の掴まれた自分の袖を引き離してお逃げになった。
小式部内侍は、この時から、歌人として世間の評判になることになった。