松浦宮物語明けむ年品詞分解現代語訳

ひとつには嬉しけれど、

親たちの気色をはじめ、おはせさまをだに
見聞かざら/むことをいみじう思ふに、
月日過ぎて、そのほどにもなり

現代語訳

(毎回毎回、神奈備の皇女を思い出さずにはいられない)

朝夕の宮仕えにつけても、

(神奈備の皇女の様子を見聞きして)我慢するのが難しい気持ちも

かえってあっさりと断念することができるほど、

きっと遠く漕ぎ離れてしまうだろうことも

(悲しい思いをこれ以上しないので)一方では嬉しいのだけれど

親たちの顔色をはじめ、神奈備の皇女のお過ごしになるご様子までも、

見たり聞いたりできなくなるような事をひどく(かなしく)思うちに

月日が経って、その(唐への出発)の時期にもなった。

品詞分解

朝夕 名詞
格助詞
宮仕へ 名詞
格助詞
つけ カ行下二段活用動詞「つく」連用形
接続助詞
耐へ ハ行下二段活用動詞「耐ふ」連用形
難き ク活用形容詞「かたし」連体形
名詞
格助詞
係助詞
なかなか 副詞
ひとかたに ナリ活用形容動詞「ひとかたなり」連用形
思ひ絶ゆ ヤ行下二段活用動詞「思ひ絶ゆ」終止形
ばかり 副助詞
漕ぎ離れ ラ行下二段活用動詞「漕ぎ離る」連用形
強意の助動詞「ぬ」の未然形
推量の助動詞「む」連体形
係助詞
ひとつ 名詞
格助詞
係助詞
嬉しけれ シク活用形容詞「嬉し」已然形
接続助詞
親たち 名詞+接尾語
格助詞
気色 名詞
格助詞
はじめ マ行下二段活用動詞「はじむ」連用形※現代語の「校長先生をはじめ、教職員の方々」の「はじめ」は名詞
おはせ サ行四段活用動詞「おはす」未然形
婉曲の助動詞「む」連体形
さま 名詞
格助詞
だに 副詞
見聞か カ行四段活用動詞「見聞く」未然形
ざら 打消の助動詞「ず」未然形
婉曲の助動詞「む」連体形
こと 名詞
格助詞
いみじう シク活用形容詞「いみじ」連用形「いみじく」ウ音便
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
接続助詞
月日 名詞
過ぎ ガ行上二段活用動詞「過ぐ」連用形
接続助詞
代名詞
格助詞
ほど 名詞
格助詞
係助詞
なり ラ行四段活用動詞「なり」連用形
ぬ。 完了の助動詞「ぬ」終止形

いまはと出で立ちて京を出づるに、

高き卑しき、馬のはなむけす。
夜すがら文作り明かして、出でな/むとするに、
いみじう忍びて賜へる、神奈備の皇女、