松浦宮物語明けむ年品詞分解現代語訳

唐土の千重の波間にたぐへやる心もともに立ち返り見よ

いまはと参り/給ひし後、一言葉の御なさけもなかりつるを、
心憂しと思ふに、なほ折過ぐさのたまへを見るに、
血の涙を流せど、使ひはまぎれ失せに/ければ、
ただとどまる人につけて、女王の君のもとに、
息の緒に君が心したぐひば千重の波分け身をもなぐがに

現代語訳

いよいよ出発というので都を出て行く時に、

身分の貴賤を問わず(人々は)送別の宴を催してくれる。

終夜漢詩を作り夜を明かして正に出発しようとする時、

そっと人目忍んでお与えになった、神奈備の皇女の歌、

 

幾重にも立つ波を隔てた唐までも、

私(=神奈備の皇女)の心をあなた(=氏忠)に添えて送ります。

どうか私の心と一緒に(日本に)無事帰ってきてお会いしたいものです。

 

神奈備の皇女が、今はもうどうしようもないと(帝の元へ参上する=)

入内になさってから後は、神奈備の皇女からは(たったの)一言(を私にくださる)

思いやりもなかったことをなさけないと思うのに

 

やはり機会を逃さずにおっしゃった(=お詠みになった)

のを見るにつけて、氏忠は、(悲しみのあまり)血の涙を流すほど

だったが、神奈備の皇女の使者は混雑にまぎれて姿を消してしまったので、

 

ただ都に残る知人に言付けて、(氏忠と神奈備の皇女の間をとりもった)

女王の君のところに次の歌を送った

 

(私が恋い慕う)あなた(=神奈備の皇女)のお心が

一緒についてきてくださいますならば、私はそれを命綱にして

何重もの波をかき分けて(危険な)航海を続けても、

きっと航路(澪)も自分の身(身を)も平穏になるでしょう。

 

コメント

というわけで、男子は自分の好きな女子の気持ちが

一緒にあるというだけで、危険な航海も楽勝なので、

女子のみんなは好意を感じたら、一言だけでも

言葉をかけてあげましょう!!

 

男子のパフォーマンスが上がります。

 

さらにもう試合を見に行っちゃったりしたら、

それだけで、男子のスタミナが3割増しになることは確実です。

品詞分解

いま 名詞
係助詞
格助詞
出で立ち タ行四段活用動詞「出で立つ」連用形
接続助詞
名詞
格助詞
出づる ダ行下二段活用動詞「出づ」連体形
接続助詞
高き ク活用形容詞「高し」連体形
卑しき シク活用形容詞「卑し」連体形
名詞
格助詞
はなむけ 名詞
す。 サ行変格活用動詞「す」終止形
夜すがら 名詞+接尾語
名詞
作り ラ行四段活用動詞「作る」連用形
明かし サ行四段活用動詞「明かす」連用形
接続助詞
出で ダ行下二段活用動詞「出づ」連用形
強意の助動詞「ぬ」未然形
意志の助動詞「む」終止形
格助詞
する サ行変格活用動詞「す」連体形
接続助詞
いみじう シク活用形容詞「いみじ」連用形「いみじく」ウ音便
忍び バ行四段活用動詞「忍ぶ」連用形
接続助詞
賜へ ハ行四段活用動詞「賜ふ」已然形 尊敬語 本動詞 作者→神奈備の皇女 (与ふ)お与えになるお贈りに鳴る
完了の助動詞「り」連体形
神奈備の皇女 名詞
唐土 名詞
格助詞
千重 名詞
格助詞
波間 名詞
格助詞
たぐへやる たぐへやるハ行下二段活用動詞「たぐふ」連用形+ラ行四段活用動詞「やる」連体形
名詞
係助詞
とも 名詞「ともに」で連語
格助詞
立ち返り ラ行四段活用動詞「立ち返る」連用形
見よ マ行上一段活用「見る」命令形
いま 名詞
係助詞
格助詞
参り ラ行四段活用動詞「参る」連用形 謙譲語 本動詞 作者→帝 入内する
給ひ ハ行四段活用動詞「給ふ」連用形 尊敬語 補助動詞 作者→神奈備の皇女 ~なさる
過去の助動詞「き」連体形
名詞
一言葉 名詞
格助詞
御なさけ 接頭語+名詞
係助詞
なかり ク活用形容詞「なし」連用形
つる 完了の助動詞「つ」連体形
格助詞
心憂し ク活用形容詞「心憂し」終止形
格助詞
思ふ ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形
接続助詞
なほ 副詞
名詞
過ぐさ サ行四段活用動詞「過ぐす」未然形
打消の助動詞「ず」連用形
のたまへ ハ行四段活用動詞「のたまふ」已然形 尊敬語 本動詞 作者→神奈備の皇女 おっしゃっる(ここでは「お詠みになる」)
完了の助動詞「り」終止形
格助詞
見る マ行上一段活用動詞「見る」連体形
接続助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
流せ サ行四段活用動詞「流す」已然形
接続助詞
使ひ 名詞
係助詞
まぎれ失せ ラ行下二段活用動詞「まぎる」連用形+サ行下二段活用動詞「失す」連用形
完了の助動詞「ぬ」連用形
けれ 過去の助動詞「けり」已然形
接続助詞
ただ 副詞
とどまる ラ行四段活用動詞「とどまる」連体形
名詞
格助詞
つけ カ行下二段活用動詞「つく」連用形
接続助詞
女王 名詞
格助詞
名詞
格助詞
もと 名詞
格助詞
名詞
格助詞
名詞
格助詞
代名詞
格助詞
名詞
副助詞(強意)
たぐひ ハ行四段活用動詞「たぐふ」連用形
完了の助動詞「ぬ」未然形
接続助詞
千重 名詞
格助詞
分け カ行下二段活用動詞「分く」連用形
名詞
格助詞
係助詞
なぐ ガ行上二段活用動詞「なぐ」終止形
がに 接続助詞

 

大将は、「難波の浦まで送ら。」とのたまひしかど、

母宮、「限りあら神の誓ひにこそ添はざらめ、