去年今年は障 ることありて、おこたりける、かしこまり取り重ねて、

思ひ立ちけり。 舟にて詣でたり。

岸にさし着くるほど、見れば、ののしりて詣でたまふ人のけはひ、

渚に満ちて、いつくしき神宝を持て続けたり。

楽人、十列など、装束をととのへ、容貌を選びたり。

名詞
副助詞
係助詞
代名詞
格助詞
明石 名詞
格助詞
名詞
年ごと 名詞
格助詞
名詞
格助詞
こと 名詞
断定の助動詞「なり」連用形
接続助詞
詣づる ダ行下二段活用「詣づ」連体形
接続助詞
去年 名詞
今年 名詞
係助詞
障る ラ行四段活用動詞「障る」連体形
こと 名詞
あり ラ行変格活用動詞「あり」連用形
接続助詞
おこたり ラ行四段活用動詞「おこたる」連用形
ける 過去の助動詞「けり」連体形
接続助詞
かしこまり 名詞
取り重ね ナ行下二段活用動詞「取りかさぬ」連用形
接続助詞
思ひ立ち タ行四段活用動詞「思ひたつ」連用形
けり。 過去の助動詞「けり」終止形。
名詞
にて 格助詞
詣で ダ行下二段活用「詣づ」連用形
たり。 完了の助動詞「たり」終止形。
名詞
格助詞
さし着くる カ行下二段活用動詞「さし着く」連体形
ほど 名詞
見れ マ行上一段活用動詞「見る」已然形
接続助詞
ののしり ラ行四段活用動詞「ののしる」連用形
接続助詞
詣で ダ行下二段活用「詣づ」連用形
たまふ ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 尊敬語 補助動詞 作者⇒人 ~なさる
名詞
格助詞
けはひ 名詞
名詞
格助詞
満ち タ行上二段活用動詞「満つ」連用形
接続助詞
いつくしき シク活用形容詞「いつくし」連体形
神宝 名詞
格助詞
持て続け カ行下二段活用動詞「もてつづく」連用形
たり。 完了の助動詞「たり」終止形。
楽人 名詞
十列 名詞
など 副助詞
装束 名詞
格助詞
ととのへ ハ行下二段活用動詞「ととのふ」連用形中止法
容貌 名詞
格助詞
選び バ行四段活用動詞「選ぶ」連用形
たり。 完了の助動詞「たり」終止形。

「誰が詣でたまへるぞ」 と問ふめれば、

「内大臣殿の御願果たしに詣でたまふを、