今井四郎兼平
「君はあの松原へ入らせたまへ。兼平はこの敵防き候はん」
木曽殿
「義仲、都にていかにもなるべかりつるが、これまで逃れ来るは、汝と一所で死なんと思ふためなり。所々で討たれんよりも、一所でこそ討死をもせめ」
現代語訳
今井四郎兼平
「殿はあの松原(粟津の松原)へお入りなさいませ。兼平はこの敵(新手の50騎)を防ぎましょう。」
木曽殿
「義仲(自分)は、都で討死するつもりだったが、
ここまで逃れて来たのは、お前(今井)と同じ場所で死のうと思うからだ。
別々の場所で討たれるよりも、同じ場所で討死もしよう。」
ポイント
敬意は今井→木曽殿です
「都にていかにもなるべかりつる」を都で合戦をするべきだった。と「べし」を当然でとっている本もあります。
学校の先生に従って下さいね。ここでは意志でとってます。
品詞分解
「君 | 代名詞 |
は | 係助詞 |
あ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
松原 | 名詞 |
へ | 格助詞 |
入ら | ラ行四段活用動詞「入る」未然形 |
せ | 尊敬の助動詞「す」連用形
今井四郎兼平→木曽殿 なさる |
たまへ。 | ハ行四段活用動詞「たまふ」命令形
尊敬語補助動詞今井四郎兼平→木曽殿 なさる |
兼平 | 名詞 |
は | 係助詞 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
敵 | 名詞 |
防き | ガ行四段活用動詞「防ぐ」連用形 |
候は | 丁寧語ハ行四段活用補助動詞「候ふ」未然形今井四郎兼平→木曽殿ます・ございます |
ん。」 | 意志の助動詞「む」終止形 |
と | 格助詞 |
申し | サ行四段活用動詞「申す」連用形謙譲語本動詞作者→木曽殿申し上げる |
けれ | 過去の助動詞「けり」已然形 |
ば | 接続助詞 |
木曾殿 | 名詞 |
のたまひ | ハ行四段活用動詞「のたまふ」連用形尊敬語本動詞作者→木曽殿おっしゃる |
ける | 過去の助動詞「けり」連体形 |
は | 係助詞 |
「義仲 | 名詞 |
都 | 名詞 |
にて | 格助詞 |
いかに | ナリ活用形容動詞「いかなり」連用形 |
も | 係助詞 |
なる | ラ行四段活用動詞「なる」終止形 |
べかり | 意志の助動詞「べし」連用形 |
つる | 完了の助動詞「つ」連体形 |
が | 接続助詞 |
これ | 代名詞 |
まで | 副助詞 |
逃れ来る | カ行変格活用動詞「逃れ来」連体形 |
は | 係助詞 |
汝 | 代名詞 |
と | 格助詞 |
一所 | 名詞 |
で | 格助詞 |
死な | ナ行変格活用動詞「死ぬ」未然形 |
ん | 意志の助動詞「む」終止形 |
と | 格助詞 |
思ふ | ハ行四段活用動詞「思ふ」連体形 |
ため | 名詞 |
なり。 | 断定の助動詞「なり」終止形 |
所々 | 名詞 |
で | 格助詞 |
討た | タ行四段活用動詞「討つ」未然形 |
れ | 受け身の助動詞「る」の未然形 |
ん | 推量の助動詞「む」連体形 |
より | 格助詞 |
も | 係助詞 |
一所 | 名詞 |
で | 格助詞 |
こそ | 係助詞(係り結び) |
討死 | 名詞 |
を | 格助詞 |
も | 係助詞 |
せ | サ行変格活用動詞「す」未然形 |
め。」 | 意志の助動詞「む」已然形(「こそ」結び) |
とて | 格助詞 |
馬 | 名詞 |
の | 格助詞 |
鼻 | 名詞 |
を | 格助詞 |
並べ | バ行下二段活用動詞「並ぶ」連用形 |
て | 接続助詞 |
駆け | カ行下二段活用動詞「駆く」未然形 |
ん | 意志の助動詞「む」終止形 |
と | 格助詞 |
し | サ行変格活用動詞「す」連用形 |
たまへ | ハ行四段活用動詞「たまふ」已然形
尊敬語補助動詞作者→木曽殿なさる |
ば | 接続助詞 |
学習塾で八年ぶりに、教鞭をとったのですが、とても分かりやすく、感動しました。47歳になるのですが、私の大学受験の時もこんなのがあれば、随分助かったのに、、と思います。
話が感動極まる作品内容な上に、品詞分解が とても素晴らしく、気持ちがひときわ入り込んでしまい、、頸を切られる所は、感極まり鼻水を垂らして大泣きしてしまい、問題集を涙だらけにしてしまいました。
有難うございました。
そう言っていただけて光栄です!お読みいただきありがとうございます!