(道長公は)「何も持たずに手ぶらで(清涼殿の殿上の間の花山帝のもとに)帰ってまいりましたなら、何も(私が大極殿へ行ったという)証拠がございませんので、大極殿の高御座の南側の柱の根本を削ってまいったのでございます。」と平気な顔で申し上げたので、花山帝は(道長の肝の座った様子に)ひどく驚嘆なさった。
品詞分解
「いかに | ナリ活用形容動詞「いかなり」連用形 |
いかに。」 | ナリ活用形容動詞「いかなり」連用形 |
と | 格助詞 |
問は | ハ行四段活用動詞「問ふ」未然形 |
せ | 尊敬の助動詞「す」連用形 |
給へ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」已然形 |
ば | 接続助詞 |
いと | 副詞 |
のどやかに | ナリ活用形容動詞「のどやかなり」連用形 |
御刀 | 接頭語+名詞 |
に | 格助詞 |
削ら | ラ行四段活用動詞「削る」未然形 |
れ | 尊敬の助動詞「る」連用形 |
たる | 完了の助動詞「たり」連体形 |
物 | 名詞 |
を | 格助詞 |
取り具し | サ行変格活用動詞「取り具す」連用形 |
て | 接続助詞 |
奉ら | 謙譲語本動詞ラ行四段活用動詞「奉る」未然形 |
せ | 尊敬の助動詞「す」連用形 |
給ふ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 |
に | 接続助詞 |
「こ | 代名詞 |
は | 係助詞 |
何 | 名詞 |
ぞ。」 | 係助詞終助詞 |
と | 格助詞 |
仰せ | 尊敬語サ行下二段活用動詞「仰す」未然形 |
らるれ | 尊敬の助動詞「らる」已然形 |
ば | 接続助詞 |
「ただに | ナリ活用形容動詞「ただなり」連用形 |
て | 接続助詞 |
帰り参り | 謙譲語本動詞ラ行四段活用動詞「帰り参る」連用形 |
て | 接続助詞 |
侍ら | 丁寧語補助動詞ラ行変格活用動詞「侍り」未然形 |
む | 仮定婉曲の助動詞「む」連体形 |
は | 係助詞 |
証 | 名詞 |
候ふ | 丁寧語補助動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」終止形 |
まじき | 打消推量の助動詞「まじ」連体形 |
に | 格助詞 |
より | ラ行四段活用動詞「よる」連用形 |
高御座 | 名詞 |
の | 格助詞 |
南面 | 名詞 |
の | 格助詞 |
柱 | 名詞 |
の | 格助詞 |
もと | 名詞 |
を | 格助詞 |
けずり | ラ行四段活用動詞「削る」連用形 |
て | 接続助詞 |
候ふ | 丁寧語補助動詞ハ行四段活用動詞「候ふ」連体形 |
なり。」 | 断定の助動詞「なり」終止形 |
と | 格助詞 |
つれなく | ク活用形容詞「つれなし」連用形 |
申し | 謙譲語本動詞サ行四段活用動詞「申す」連用形 |
給ふ | 尊敬語補助動詞ハ行四段活用動詞「給ふ」連体形 |
に | 接続助詞 |
いと | 副詞 |
あさましく | シク活用形容詞「あさまし」連用形 |
おぼしめさ | 尊敬語本動詞サ行四段活用動詞「おぼしめす」未然形 |
る。 | 尊敬の助動詞「る」終止形 |
こと殿たちの御けしきは、いかにもなほ直らで、
この殿のかくて参り給へるを、帝よりはじめ感じののしられ給へど、